年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「奏多……くん?」

少し躊躇しつついうと、「くんはなくてもいいんだけどな」そう彼は口にした。

「追い追い……。それより、嫌いなものがあれば言っておいてね」

食べてもらう以上、喜んでほしいし、「おいしい」と言ってもらいたい。
そんな思いからそう伝えると、奏多君は少し考えるような表情を浮かべた。

「嫌いなものはないけど、苦手なものならあるかな」
「なに?」
「パクチー」
思いがけない答えに、私は目を瞬かせた。

「パクチーって、普段食べる?」
思わず笑いながら尋ねると、奏多君は至極真面目な顔で頷く。

「いや、アジアに飛ぶと、けっこうな頻度で料理に入ってるんだよな……」
確かに、日本の食卓ではなかなか登場しないが、国際線のパイロットらしい話だと納得する。
「奏多君にも苦手なものがあるんだね」

たわいもない会話が、私の心を少し緩めたのだろう。本音が、ふと零れ落ちる。
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