年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


なにがどうして、こんなことに――。そう考えたとき、すべての出来事に共通する人物が浮かぶ。

ーー沙羅さん。

噂を流したのも、木村機長に話を吹き込んだのも、彼女以外に考えられない。望海と俺の結婚をよしとしていないのだろう。
日本に帰ったら、彼女と話さなければ。そう思いながら、部屋に戻りスマホを眺めた。

二十二時二十八分、日本は朝の六時を過ぎたところ。
浮かび上がる数字に、小さく息を吐く。望海はまだ眠っているだろう。

「会いたいな……」
今すぐこの手に抱きしめて、微笑む彼女を見て安心したい。

けれど、今はただ、冷たいベッドの上でスマホの画面を見つめることしかできなかった。

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