年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


「木村機長は、彼女をどうしたいんですか?」
なんとか冷静を装いながら尋ねると、木村機長はグラスのウイスキーを一気に流し込んだ。

「望海は、俺が守らないとなにもできないし、生きていけない。だから俺が守る」
まったく意味がわからない。その言葉に、俺は立ち上がった。

「望海は、誰かに頼らなければ生きていけないほど弱くありませんし、都合よく扱える存在でもありません。むしろ、俺のほうが振り回されているくらいです。勘違いしないでください」
きっぱりと言い切ると、木村機長も立ち上がる。

「望海だって、俺のもとに来ることを望んでいるはずだ」
もしそれが事実だとしても、こんなふうに望海を語る人間に彼女を任せるつもりはない。

望海は、自分をしっかり持ち、ひとりでも生きていける強さがある。その隣を歩いていきたいだけだ。一緒に手を取り合って。
「そんなことはありえません」

そう言い切ると、「若いな」とあざ笑うような声が聞こえたが、俺は黙ったまま、その場をあとにした。
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