年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


「チーフ、この際、はっきり聞いてもいいですか?」
「莉子ちゃん、お疲れさま」
挨拶もそこそこに、後ろから聞こえた声に振り返りながら笑顔を向ける。

「それより」
「ん?」

「鷹野機長と木村機長、二股って本当ですか?」
「え? なにそれ……」

思わず、普段なら絶対に出さないような声音で返してしまい、ため息が漏れた。征爾兄さまのことだけならともかく、今度は二股疑惑まで……。めまいがしそうで、額に手を当てる。

「たぶんチーフには直接聞けないから、噂に尾ひれがついたんだと思います。私はチーフがそんなことをする人じゃないのはわかっています。でも、もう我慢できなくて、直接聞こうって……」

このまっすぐで優しい莉子ちゃんは、本当にこの仕事が向いていると思う。
多少感情が表に出やすいところはあるが、思いやりがあり、人の気持ちを汲み取るのが上手い。
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