年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
高度が安定すると、眼下には夜明けの空港と、その向こうに広がる海が見える。雲の切れ間から差し込む朝陽が、雲海を黄金色に染めていた。
この景色を見られるのはパイロットの特権だと思う。巡航高度に達し、機内も安定したころ、客室乗務員からコックピットに連絡が入る。
「鷹野機長、村田です。お疲れ様です」
その声音から特に問題はないとは思いつつ、冷静に返事をする。
「なにかありましたか?」
「いえ、特に問題はありません。ただ、コーヒーでもお持ちしようかと思って……」
機長にコーヒーを差し入れるのは特別なことではないが、彼女の声からは仕事以上のなにかを感じてしまうのは俺のうぬぼれだろうか。
「ありがとう。今は大丈夫です」
そう伝えると、彼女は少し残念そうな声を漏らしながら電話を切った。
村田(むらた)麻美(あさみ)――今年で二十六歳。語学も堪能で、仕事も非常に優秀な客室乗務員だ。対応は的確で、周囲からの信頼も厚い。だが、問題はその先だ。彼女はとにかくアピールが強い。
身長百六十六センチ、端正な顔立ちに加え、制服をきっちりと着こなした姿は目を引く。仕事ぶりもプロで、とても男性にモテるタイプの女性だろう。