年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「機長、人気者ですもんね」
三井が少しふざけた様にいうのを、俺は視線で制した。

安全を守るのが仕事である以上、チームを導くのも仕事だとはわかっている。だから色恋だの問題は避けて通りたい。
「難しいな」
そう呟くと、俺は小さく息を吐いた。


「鷹野機長、待ってください!」
成田からフランス、そしてその逆を飛び続けた数日間。ようやく終わったフライトの疲れを感じながら、静かに空港をあとにしようとしたそのときだった。

「明日からオフですよね? 今日くらい、ご一緒してください」
背後から聞こえた声に足を止め振り返ると、そこには村田さんが立っていた。鮮やかに巻かれた髪を指先で弄びながら、上目づかいでこちらを見てくる。できれば見つからずに帰りたかったが、どうやら運が悪かったらしい。

「三井コーパイたちも一緒ですから」
悪戯っぽく微笑む彼女の表情に俺は観念した。何度断っても、きっとまた誘われるだろうし、今後仕事を円滑に進めるためにも仕方がない。
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