年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「鷹野機長、どこに行くんですか?」
すでに酔っている客室乗務員の女性たちの声を背中で聞きながら、曖昧に微笑んでごまかしつつ、俺は部屋を出た。
カウンターに視線を向けると、すでに彼女の姿はなく、俺は教えられた通り化粧室へと向かった。
そこで目にしたのは、案の定、男に絡まれている若林さんの姿だった。
――やっぱり。その思いが真っ先に浮かぶ。絡んでいる男は完全に酔っていて、彼女にしつこくなにかを話しかけていた。男の顔は酔いで赤く、彼女の肩のすぐそばに手をつき、あからさまに距離を詰めている。
咄嗟に手を伸ばし、彼女の腕を引いた。細い肩が俺の胸にぶつかり、思ったより軽い身体が腕の中に収まった。
「……っ」
彼女が驚いたように息を呑み、俺も無意識に息を詰めた。目の前で困惑する表情を見た瞬間、こんなに無防備な人だったのかと思った。
本来なら、このまま手を離し、何事もなかったかのように店を出れば俺は彼女も助けられたし、早く帰宅ができる。そう理解しているのに、なぜか足が動かず、気づけば俺は彼女の隣の席に腰を下ろしていた。
「……ありがとうございました」
申し訳なさそうに頭を下げる若林さんを見て、ふと考えた。