年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

それから数分して芽衣の上司と一緒に父、そして見知らぬ男性の姿が見え、少し緊張してしまう。

「あ、社長! それにパパ!」
北村さんはそれに気づくと、嬉々として父たちのもとへ向かい、媚びるように上目遣いで見上げた。

「あの、広報の担当さんが、私の髪型がダメだって……」
甘えた声で訴えると、父は芽衣のほうへ視線を向け、それから私にも目をやる。だが、その表情は変わることなく、まるで他人を見るようだった。

別にここでなにか反応が欲しいわけでもないし、気にもしていない。だが、せめて父にはまともな判断をしてほしいと願う。
「なんだって?」

隣にいた男性が、不愉快そうに眉をひそめる。態度からして、北村さんの父親なのだろう。
そして次の瞬間、まるで決まりきったことのように言い放った。

「お前は下ろしていたほうが似合うからな」

それは、親バカというにはあまりにも無責任な発言だった。
いくらコネとはいえ、こんな女性を入社させるなんて――私を含め、ここにいるスタッフ全員が同じ思いを抱いた気がした。
社長である父の判断を待つように、視線が彼へと集まる。
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