年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「別に問題はないだろう」
そのひとことに、思わず唖然とする。いつも「身だしなみをきちんとしろ」と口うるさく言っているのに、自分の発言と矛盾していることに気づかないのだろうか。

それに、こんな姿で会社の顔として人前に出ることを許せば、会社としてもマイナスでしかない。どうすべきかと考えているうちに、父はまるで何事もなかったかのように、鷹野君のほうへ歩いていった。

「今回は取材を受けてもらってありがとう」
「いえ」
 こんな茶番に付き合わされて、きっと内心では迷惑だと思っているはずだが、鷹野君はそれを一切顔に出さず、静かに父に頭を下げた。
「鷹野機長。今日はよろしくお願いします!」
北村さんの言葉の最後には、ハートマークがついているのではないか。そんなことを思いながらも、このままではいけないと感じ、「あの」と口を開きかけたその瞬間、父の視線が鋭く私をとらえ、睨みつける。ゾクリと背筋が冷たくなり、私は思わず口を閉じた。

「それでは――」
芽衣が諦めたように、そう切り出したときだった。
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