スターリーキューピッド
愛香さんの後に続いて会計を済ませると、またもや彼女が……。


「そうだ! 私たちこれからパン屋さんに行くんだけど、2人も来ない? もうすぐ焼き上がりの時間なの!」


お店を出て早々お誘いを受けた。どうやらここには時間潰しで訪れていたらしい。

そのパン屋さんはこの春開店したばかりで、歩いて10分ほどの場所にあるそう。

行ってみたい気持ちは山々だけど……。


「すみません。僕たち、家族と来てて。時間も迫ってきてるので……」

「あらら。もし食べたいのがあるなら買ってこようか?」

「大丈夫ですっ! 私たちさっき、あそこのお店でパフェ食べてお腹いっぱいなので」


カフェを指差して断る。

近場でも、あまり離れると合流するのが難しくなるかもだし。

嫌な気分にさせちゃったかな……と心配していたけれど、彼女はあっけらかんとした表情で「オーケー!」と一言。


「また来る機会があったら、ぜひ寄ってみて! オススメはカレーパン! スパイスが効いててすっごく美味しいの!」

「はいはいわかったから。ごめんな、騒がしくして」

「いいよいいよ。楽しかったし。また学校でな」

「おう。四居さんも、またね」

「うん。また、ね」


友清くんは苦笑いで手を振ると、愛香さんの背中を押しながら去っていった。

その夜、彼からメッセージが来て。予想通り、彼女が金星の化身だと書かれてあった。
< 61 / 136 >

この作品をシェア

pagetop