私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
運転席にはマネージャーの渡瀬が待っていた。
ひっつめ髪にメガネ、グレーのスーツといういつもの服装だ。
俺になびかない貴重な女で完全ビジネスライクな関係。
その渡瀬が冷たい目で俺を見ていた。
「おとなげないことしますね」
俺はその言葉になにも答えなかった。
望んだのはあいつだ。
俺のせいじゃない。
それにしても、あのウサギはおもしろい。
キス一つにゆでタコみたいな顔をしていたことを思い出して、俺は一人笑った。
また会えるかどうかは謎だが、嫌ではなかった。
小動物は昔から嫌いじゃない。
飼育係をするくらいには―――いや、飼育係をやったのは一度だけ。
「生き物は死ぬからな」
「なんですか?ペットでも飼いたくなったんですか?」
「いや、まさか」
死んでいる姿を見るのは人間も動物も苦手だ。
俺は渡瀬から目をそらし、窓のほうに向き目を閉じた。
それ以上、俺も渡瀬も黙ったまま、どちらもなにも話さなかった。
ひっつめ髪にメガネ、グレーのスーツといういつもの服装だ。
俺になびかない貴重な女で完全ビジネスライクな関係。
その渡瀬が冷たい目で俺を見ていた。
「おとなげないことしますね」
俺はその言葉になにも答えなかった。
望んだのはあいつだ。
俺のせいじゃない。
それにしても、あのウサギはおもしろい。
キス一つにゆでタコみたいな顔をしていたことを思い出して、俺は一人笑った。
また会えるかどうかは謎だが、嫌ではなかった。
小動物は昔から嫌いじゃない。
飼育係をするくらいには―――いや、飼育係をやったのは一度だけ。
「生き物は死ぬからな」
「なんですか?ペットでも飼いたくなったんですか?」
「いや、まさか」
死んでいる姿を見るのは人間も動物も苦手だ。
俺は渡瀬から目をそらし、窓のほうに向き目を閉じた。
それ以上、俺も渡瀬も黙ったまま、どちらもなにも話さなかった。