私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
「しっ、身長がちょっと低いだけで、立派な大人なのに……!」
「そうだな。ちゃんとご飯食えよ。成長しきってないんじゃないか」
「ぐっ……!確かにさっきフラれていた女の人の胸は大きかったですけどって、もしかして巨乳好き?」
「小さいよりはまあ大きい方がって、フラれてねえよ!合意の上の別れだ。お前、馴れ馴れしいな!離れろ!」
逃がすものかと腕をつかんだままの私の頭をググッと押す。
頭を押されると身長が縮む!!
「身長が縮むから頭はやめて!」
「気にしてるんだな」
当たり前だよ。
ミリの誤差でも気にしてる。
貴重なミリだよ。
「仕方ないな」
なにが仕方ないんだろうかと顔をあげると梶井さんの整った顔が目の前にあり、オレンジの強い香りがした。
一瞬で手から力が抜けた。
「ウサギちゃんに大人のキスはまだ早い。じゃあな」
私から自由になった腕をあげて、ひらひらと手を振る。
手洗い場の木のドアがぱたんと閉まった音で我に返った。
「え?あ、あれ……?今のファーストキス……?」
ドアを呆然と見詰めたまま、その場から動けなかった。
触れた唇の感触。
オレンジの香りに混じる彼の甘い香水が、夢ではなかったことを私に教えていた―――
「そうだな。ちゃんとご飯食えよ。成長しきってないんじゃないか」
「ぐっ……!確かにさっきフラれていた女の人の胸は大きかったですけどって、もしかして巨乳好き?」
「小さいよりはまあ大きい方がって、フラれてねえよ!合意の上の別れだ。お前、馴れ馴れしいな!離れろ!」
逃がすものかと腕をつかんだままの私の頭をググッと押す。
頭を押されると身長が縮む!!
「身長が縮むから頭はやめて!」
「気にしてるんだな」
当たり前だよ。
ミリの誤差でも気にしてる。
貴重なミリだよ。
「仕方ないな」
なにが仕方ないんだろうかと顔をあげると梶井さんの整った顔が目の前にあり、オレンジの強い香りがした。
一瞬で手から力が抜けた。
「ウサギちゃんに大人のキスはまだ早い。じゃあな」
私から自由になった腕をあげて、ひらひらと手を振る。
手洗い場の木のドアがぱたんと閉まった音で我に返った。
「え?あ、あれ……?今のファーストキス……?」
ドアを呆然と見詰めたまま、その場から動けなかった。
触れた唇の感触。
オレンジの香りに混じる彼の甘い香水が、夢ではなかったことを私に教えていた―――