転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「きゃああ! 暴力は、反対でしてよ~!」
「貴様のほうが先に、姉さんへ手を上げたんだろう!」
「誤解ですわ! まだ、叩いておりませんもの!」
「暴行の現行犯だ。来い!」
「いやああ!」

 悲鳴を上げて嫌がるルアーナ公爵令嬢を、そのまま職員室まで引き摺って行ってしまった。

「ユキリっ。大丈夫かい!?」
「あ、うん……。私は平気……」
「やっぱり、あの女と君が同じクラスなんて無理があったんだ。学校に抗議して……」
「だ、大丈夫だよ! 授業中は、ひと目があるし! 私とルアーナ公爵令嬢は、今のところトラブルになってはいないから!」
「だけど……」

 マイセルは納得がいかないと浮かない顔をしているが、ここで彼の提案を受け入れたら大好きなロンティナの学園生活を間近で見られなくなってしまう。
 それだけは嫌だと考えたユキリは、なけなしのプライドを投げ捨て――殿下が喜ぶ言葉を口にすると決めた。
 それは……。

「た、助けてくれて……。ありがとう」
「どう、いたしまして」

 彼を拒絶せずに、受け入れると言うこと。
 その効果はてきめんで、何を言っても頑なだったマイセルはピリピリとした空気を霧散させ、あっと言う間にごきげんな様子を見せる。
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