転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「ルアーナ公爵令嬢……」
「なんだか、気分が悪そうですわね」
「いえ、そんなことは……」
「よろしければ、いかが? 気分が落ち着きますわよ」

 彼女から果実酒を渡され、どうしようか迷った。

(ロンドからは、警戒しろって言われてるけど……)

 彼女は3か月間ともに授業を受けた、クラスメイトだ。

(危害を加えようとするなど、あり得ないよね……?)

 そう思い込んだティナは素直にそれを受け取り、グラスに口づけた。

「ありがとう。いただきま……っ!」

 一口含んだだけでも、ピリピリとした強烈な痛みが喉に走り、呼吸が荒くなる。

「ひゅーっ、ひゅーっ」

 ティナは左手で喉元を抑えながら、果実酒の入ったグラスを落としてしまう。
 パリンとガラスが床に飛び散り、真紅の中身がぶちまけられる。

「ふふっ」

 ランカが口元を緩ませ微笑む声を聞いたティナは――こうして、その場に崩れ落ちた。
< 188 / 245 >

この作品をシェア

pagetop