転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
 それが不思議で仕方がなくて、自室に辿り着くまでその理由を考え続けた結果――ある一つの可能性に気づいてしまった。

(もしかして私、恋ラヴァが始まる前に死んでいるとか……?)

 乙女ゲームにおいて、攻略対象のイケメン達には心の傷や重い過去などが個別ルートで語られることが多い。
 その問題にヒロインが寄り添って解決し、2人の関係が深まるのだ。

(マイセルルートにそんな設定はないけど……。ユイガは確か、攻略対象にするのを断念したから……。幻のルートがあるはずなんだよね……)

 もしもそれが、ユキリの死ぬルートなら――実装されなかったのも頷ける。

(好きな男性に、かつて愛する女性がいたなんて……。プレイヤーからは、総スカン食らいそうな設定だもんね)

 そう納得して、何度かコクリと頷く。

「姉さん? どうした? なんだか、百面相しているが……」

 すると、その光景を不思議に思った弟から声をかけられた。

「なんでもないよ」

 首を振って問題ないと伝えれば、彼の表情が曇る。
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