転生モブ令嬢は、死ぬ予定でした 王太子から溺愛されるなんて、誰か嘘だと言って!
「恋愛学園の入学を許可頂き、ありがとうございます」

 新入生の代表挨拶を壇上で執り行うマイセルの姿は、とても凛々しく堂々とした声音で女子生徒達を虜にする。
 周りの生徒達がうっとりと聞き入る中、ユキリは心あらずな様子で先ほどの光景を回想する。

(ロンドの初イベ、最高だった……!)

 乙女ゲームの中だけでしか見られなかった光景が、肉眼で見られるなど――まさしく夢のようだ。

(リアル、三次元……!)

 2.5次元は受け入れられる人といない人に分かれてしまうが、ユキリはどちらかと言えば前者のタイプだ。
 推し作品が実写化する場合も、容姿や性格がかけ離れていなければ許容する。

(作中のあれこれが、間近で見られるなんて……!)

 何度目かわからぬ喜びに満ち溢れたせいか。
 元に下衆な笑みを浮かべれば、答辞が記載された紙を折り畳んだ殿下が、ある一点を見つめてはっきりと宣言した。

「僕達は、最高のパートナーを見つけます」

 その言葉を耳にした女子生徒達が一斉に、ユキリに視線を向けた。
 この中には、ティナの姿もある。

(え、何? どう言う事?)

 思わずぽかんと口を開けて首を傾げると、壇上から降りた王太子は何事もなかったかのように新入生達の元へ戻っていく。
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