25年ぶりに会ったら、元・政略婚相手が執着系社長になってました

真樹との晩酌は、本当に楽しかった。
昨日は驚きの連続で、美和子の心はまだ追いついていかない。

真樹が帰ったあと、台所で食器を洗いながら——ふと、彼の告白を思い出す。
「美和子のことが、好きだ」

……まさか。
まだ、信じられない。

でも、あの時の真樹は、本当に真剣だった。
これは夢じゃない。現実なんだ。

彼の、追い打ちをかけるようなあの言葉——
「ただ、俺に愛されていればいい」
そんなふうに言われたら、もう、心が熱くてどうにかなりそう。

しかも、颯真君と佳奈ちゃんが知っていたなんて！
うそ、恥ずかしい……けど……応援してくれてるって。
どうしよう、嬉しい。涙が出そう。

——「今は、まだ考えなくていい」

真樹さんの言葉を思い出す。
あの優しい声。あの腕の中の心地よさ。
彼のコロンの、少しスパイシーで落ち着く香り。

「美和子」って、何度も名前を呼ばれた。
あんなふうに、自然に。大切に。

……でも、でも。
「ただ、俺に愛されていればいい」なんて——
どうすればいいの？ 私、どうしたらいいの？

考えたって、わからない。
もう、寝よう。

布団に潜り込んで、ふうっと息を吐く。
その瞬間、ふわりと香るのは——彼の匂い？ 幻？

美和子も、真樹と同じように、すぐに眠りに落ちた。