響け!月夜のアジタート
アントーニョが首を傾げる。手紙の内容はこのようなものだ。


拝啓 親愛なるあなたへ

私 は  待っています。   あの 美しい  場所で  あなたを  あなたたちを


差出人は不明。何を伝えたいのかわからない手紙だ。しかし、レオンハルトの口角がゆっくりと上がっていく。

「この手紙、変な空白があるのね」

マーガレットの指摘に「それがヒントだよ」とレオンハルトは答える。カナタが「暗号ってことですか!」と目を輝かせた。レオンハルトは頷く。

「この手紙の空白の部分、それはモールス信号だ。これを解読すると……ホテルの住所になっているね」

「ホテルの名前は?」

オルハンが訊ねる。レオンハルトは「スネーウと書いてある」と答えた。オルハンは世界のホテルの名前が書かれた本を捲る。そしてその手が止まった。

「そのホテルはレークヴィエム国のホテルだね」

「レークヴィエムってあの雪と氷の国?」

マーガレットが体を震わせる。レークヴィエムはレオンハルトたちが暮らすトロンペーテ国よりも北に位置し、年中雪と氷に覆われた国だ。
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