響け!月夜のアジタート
アントーニョがグッと体を伸ばす。その横でオルハンが何か余計なことを言いそうだったので、レオンハルトが先に口を開いた。

「そういえば、先ほどロビーでマリヤ・アルロフスカヤさんとご子息のフョードルさんにお会いしたよ」

「マリヤ・アルロフスカヤと?」

オルハンの興味がレオンハルトに向けられる。レオンハルトは頷きながら先ほどの光景を思い浮かべた。

「マリヤさんとは会話をしたが、フョードルさんとは話を一言もしなかったな」

「変ね〜。三年前のこの雑誌の取材じゃフョードルさん、すっごく話してたのよ。「お客様と話すことが好きだ」って言って」

マーガレットが不思議そうにしながら雑誌を取り出す。しばらくフョードルのことが話題の中心になっていたのだが、レオンハルトはマリヤの言葉をふと思い出す。

「そういえば、七時に舞台に来てほしいと言っていた。何か素晴らしいものが見えるとか……」

「七時だとちょうど夕食が終わった頃ですね。ぜひ行きましょう!」
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