響け!月夜のアジタート
「わ、私は……リズ。リズ・ポッターと言います」

少女ーーーリズは緊張した様子で答えた。レオンハルトはギルベルトの方を向く。

「リズは被害者です。人身売買の被害に遭い、このホテルでフョードル・アルロフスカヤとして生きるように強制されていました」

「なるほど……。リズさん、またあとで詳しい話を聞かせてください」

ギルベルトはそう言い、背中を向けて会場を出ていく。これから彼は取り調べや調書の作成など大忙しだ。

「あ、あの……」

ギルベルトの背中を見送っていたレオンハルトに、リズが恐る恐る話しかけてくる。

「リズ、どうしたんだい?」

「私、帰る家はありません。両親は他界していて、多分故郷の家ももう取り壊されています。どこにも居場所なんてないんです」

泣き出してしまいそうになる彼女に、レオンハルトは優しく触れた。大きな手で白い頰を撫でていく。

「居場所がないのなら、私がーーー私たちがリズの居場所になろう。探偵社の事務員は一人だけでね。彼の負担を減らしてあげたいんだ。事務員として働いてくれないだろうか?」

レオンハルトの言葉にリズの目が大きく見開かれる。そして、その顔に笑みが浮かぶ。

L・G探偵事務所に、新たな仲間が加わった。
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