パラノイア境界線


窓から差し込む夕焼けの光が怖かった。

それは、あたしにとって地獄の合図だったから。

母親は夕焼けが射してくると、化粧がベッタリ施された顔でカーテンをしめる。
幼いあたしは、それが怖かった。

ママ、カーテンを閉めないで。
ママ、まだ一緒に遊んでいて。

「ユウ、いいこにしててね?」

そのときだけは母親の笑顔が嫌いだった。
だいっきらいだった。

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