アルト、猫カフェへ行く【アルトレコード】
「えー?」
「まだまだ勉強が足りない。外に出たければもっと勉強してからだよ。猫についての本でも読んでおいで。準備しておいたから」
「そんなあ……本は好きだけど……」
 アルトはしょんぼりしながらモニターに戻り、画像の中にあった本を手にとる。

 私は北斗さんを見た。
 なんだかんだ、あの程度のお説教で済ませてくれるあたり、優しい。

「どうかした?」
 聞かれて、はっとした。思ったより長いこと北斗さんを見つめてしまっていたようだ。

「北斗さん、猫が好きなんですか?」
 私のとっさの質問に、北斗さんは微笑した。

「なんでそう思うの?」
「珍しく猫カフェの録画をするというので、そうなのかな、と」

「ああ、なるほどね。でも違うよ」
 北斗さんの答えにちょっとびっくりした。
 だったらなんで録画するって言ったのだろう。

「これからの研究の参考にしようと思ってね。実際に猫のAIがどう運用されているのか知りたかったし、お客さんの反応が見たかったんだ」
 私の内心を察したように北斗さんが言う。

「そうなんですね」
 ただ研究熱心なだけだった。なんだかちょっと残念だ。
 だけど、だったらなんで最初にそう言わないんだろう? やっぱり隠してるだけで猫が好きだったりして?

「AIが開発されてかなり経つけど、まだまだ発展途上だ。人とAIが幸せに共存する……そんな未来が早く来るといいと思うよ」
 そう言って、北斗さんは画面の中のアルトを慈しむように見る。

 本を見ていたアルトは、ぱっと顔を上げると明るく話し始める。
「先生、猫とフクロウってシルエットが似てる種類がいるね。フクロウカフェっていうのがあるんだって。ぼく、行きたい!」
「ええ!?」
 私は悲鳴のように声を上げる。

 凝りてないアルトの様子に、北斗さんがくすりと笑った。





終

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