アルト、猫カフェへ行く【アルトレコード】
「アルトは悪くないんです、私がしっかりしてないから」
「同罪だよ。まったく」
 北斗さんはこめかみあたりに手を当てて呆れたように言い、私はしょんぼりと肩を縮こまらせる。

「今後、ああいう場面は録画だけして、あとで警察に通報すること。いいね?」
「だけど、そしたら犯人が逃げない?」
 アルトが聞くと、北斗さんは真面目な顔で彼を見る。

「自分の安全を優先するんだ。君が傷付いたら悲しむ人がいるってことを忘れないように」
「そう……なの? ぼくはAIだから、再起動すればいいんじゃない?」
 アルトはきょとんとする。

「私はアルトが傷付いたら悲しい。失いたくない。自分を大切にするということは、そう思ってくれる周りの人を大切にすることでもあるのよ」
「よくわかんない……」
 困惑するアルトに、北斗さんが言う。

「先生が自分の危険を省みずに行動した結果、ケガをしたらどう思う?」
「そんなの嫌だ」

「それと同じことだよ」
「……ぼくがケガしたら、先生が悲しいの?」
 たずねるアルトに、私は頷く。

「そうだよ。だから危険なことはしてほしくないの」
「そっか、わかった」
 理解できたことにはアルトは素直だ。今後は無茶をしないでくれるだろう。
「わかったなら、今後は外出は禁止だよ」
 すかさず北斗さんが言う。
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