間違いから始まる恋


「ね、幸田くんに手紙渡してくれた?」と例の御子柴の攻撃に、今日ばかりは何も言えない。


「あー……うん」と曖昧に返事を濁すと


「……そっか。幸田くんは何て?」


と御子柴が少し不安そうに表情に翳りを見せる。


何ていゃあいいんだよ。あいつ付き合ってるヤツいるよ?


なんて軽々しく言えないよな。






「その前に、これ俺から」






俺は御子柴が作った手紙と同じ折り方で作った手紙を御子柴に突きつけた。


御子柴が作ったようにきれいには折れなかったが、それでも精一杯気持ちを込めて折った。


内容は





“幸田なんてやめて俺にしろよ。



好きだ、御子柴




         小田切”




御子柴はその場で、手紙をそっと開ける。


てかこの場で開ける!?


俺は一人あたふた。


その文字を見て、御子柴の目が見る見るうちに開かれていく。


御子柴は慌てて鞄からペンを出すと、その手紙の端に何かを書いた。


「今度は間違いなんかじゃないから」


そう手渡されて、御子柴は顔を真っ赤にさせてパタパタと走り去っていく。


何だ?やっぱ俺、間違えた??


とちょっと不安になりながらも開いた手紙に






“あたしも。


あたしもいつの間にか小田切のこと好きになってた”






と書かれていて、


え?



ぇえーーーー!!!?



走り去ろうとしていた御子柴がその歩みを止め、ポニーテールを揺らして、ふと振り返る。


「一緒、帰る?」


「あ、ああ……」


俺は手紙の端にさらに書き込みをして、それを胸ポケットに仕舞いいれた。




“大好きだ”





~END~



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