あなたを紹介できない理由 ―この恋は、規則違反です―
「いないですよ。彼女。」

ぽつりと東条さんが言った。

「えっ……」

思わず間の抜けた声が出てしまう。

それを聞いて彼は、少し照れくさそうに笑った。

「いいなぁと思う人はできるんですけどね。年齢的に落ち着いた方がタイプで。これがなかなかお付き合いに至らなくて。」

そんな話を聞いているだけなのに、心臓の音がうるさくなる。

なんだろう、この感覚――まるで、昔恋をしたときみたいに。


「さあ、マッチングのお相手が見つかりましたよ。」

東条さんがパソコンの画面を私に向ける。

そこには、プロフィール写真と共に、名前や職業が並んでいた。

でも、どこか遠くに感じる。

そうだ。彼はプロの仲人。

私は、彼にとって“紹介する側の相手”でしかない。

――なのに。

どうして、東条さんの言葉や表情が、こんなにも心に残るんだろう。

現実を見なきゃいけないと分かっているのに、私の視線は彼から離せなかった。

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