家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「ええ。クラリス様のドレスの都合もありますし、十日ならば待ちましょう。それ以上は、私の事情もあり難しいですが。」

「もちろん、感謝します。」と母が笑う。

その後の夕食は、先ほどまでの緊張が少し和らぎ、セドリックとの会話も自然に続いた。

彼の言葉を反芻するたび、胸の奥に小さな灯がともるような気がした。

そばかすなんて、どうでもいい。

それを初めて、誰かに真正面から言ってもらえた。

私という存在を、条件ではなく、一人の人間として見ようとしてくれる人がここにいる――その事実だけで、十日後の未来が、ほんの少しだけ明るく感じられた。
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