家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
彼の手が私の頬にそっと触れ、まるで私を壊さないように優しく撫でる。

そのまま唇が重なり、深いキスへと変わっていった。

――私は、求められている。

ただの政略結婚ではなく、一人の女性として。

このそばかすさえも、受け入れてくれる彼に……私は心まで溶かされそうだった。

「君が欲しい。」

その囁きとともに、彼の腕が私を強く抱きしめる。

「心も体も、僕のものに……クラリス。」

耳元に響く彼の熱い声に、私は抗うことなく、そっと目を閉じた。

ようやく、自分の存在が誰かの“欲しい”に変わった気がしたから。


てっきり彼女を愛しているのなら、愛人にしてもいいわよと言うつもりだった。

でも、彼ははっきり断るだろう。

彼女への愛が無くなったと、私を欲しいと言ってくれたから。

< 60 / 300 >

この作品をシェア

pagetop