家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「本当は、地位も名誉も関係なかった。君が欲しい――ただ、それだけだった。」

その言葉に、胸の奥に温かい何かが染み込んでくる。

――私は、誰かの“選ばれた”存在になっていたのだ。

打算ではなく、心で。

そして、セドリックはそっと私に顔を近づけると、優しく唇を重ねた。

それは戸惑いも、悲しみもすべて包み込んでくれるような、温かなキスだった。

「はっきり言う。そばかす顔の君だって、綺麗だ。」

セドリックの低くて真っ直ぐな声が、私の胸に染み込むように届いた。

それは、誰にも否定され続けてきた私が、心のどこかでずっと――ずっと、求めていた言葉だった。

「君を手に入れるためなら、どんなに支度金を渡してもよかった。」
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