家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
しばらくすると、会場の向こうから二人連れの男性が私たちの方へと近づいてきた。

背の高い方にエミリアが笑顔で駆け寄る。

「ヴィンセント。」

その声は、まるで待ち焦がれていた恋人に向けるような響きだった。

「クラリス、紹介するわ。私の夫、ヴィンセント・ロズウェルよ。」

彼女が誇らしげに隣の男性を見上げる。

「はじめまして、クラリス・グレイバーンと申します。」

丁寧に挨拶をすると、彼は礼儀正しく微笑んだ。

「グレイバーン伯爵夫人。エミリアのご学友にお会いできて光栄です。」

その穏やかな声音に、恋愛結婚らしい親しみが滲んでいた。

仲睦まじい様子に、私の胸も温かくなるのだった。
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