家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「セドリックの奥さん。」

そう声をかけてきたのは、エミリアの旦那様と一緒にいたもう一人の男性だった。穏やかな笑みを浮かべて、私に近づいてくる。

「お久しぶりです。結婚式でお会いしました。」

「ええっと……」

「ノア・バルモントです。セドリックの旧友ですよ。」

ああ、思い出した。式の後方に立っていた、落ち着いた雰囲気の方だ。

「改めて、グレイバーン伯爵夫人。おめでとうございます。」彼は丁寧に礼をした。

「ありがとうございます。」私は笑顔で挨拶を返した。

「不思議ですね。結婚式のときよりも……お綺麗になったような。」

「そうですか? だとしたら……」私は少し照れて笑った。「きっと、夫……セドリックのおかげです。」

ノアは微笑んだ。「彼が選んだ相手ですから、当然ですね。」その言葉に、私は少しだけ胸を張った。
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