セフ彼柊くんと本気の恋
「亜衣子さん」
不意に後ろから声がする
聞き慣れた甘いトーンの声だ
私は泣きながら後ろを振り返った

「柊君?」
そこには柊君が立っていた

「亜衣子さん。泣いてるの?」
柊君は近くまで寄って来て私の涙を拭った
「もう柊君に会えないかと思った」
私はまた涙が出てくる
「僕を探してたって本当?」
涙で言葉が出なくて、私は首を縦に振ってコクっと頷いた
「ごめん。僕にはもう亜衣子さんに会う資格がないんだ。僕はもうセフ彼ではいられない」
柊君は辛そうに口を開いた
「私は最初から柊君の心が欲しい。でも、まだ若い柊君を縛るのは違う気がするから、身体だけでも繋がっていたかった」
本当はずっと柊君にセフ彼じゃなくて普通の彼氏になってほしかった
私はやっぱり泣いてしまった
「僕も亜衣子さんが欲しいよ。亜衣子さんの心が欲しい」
亜衣子さん。僕の彼女になって
て言うか僕はもうとっくに彼女のつもりでいたんだけど?
私は何度も首を縦にして頷いた
「私は柊君が好き。出会った時からずっとずっと好きだった」
やっと言えた
本当のわたしの気持ち
出会った時から一目惚れだった
好きだよ。柊君
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