アルト、猫になる【アルトレコード】
「せんせえ~」
扉が開くと同時に甘えた声がして、私はディスプレイから顔をあげた。
いつもの研究室、入って来たのは黄色のメッシュに三つ編みがかわいいアルトだ。
事件が落ち着いたあと、四人のアルトは個室を用意してもらい、研究所に住んでいる。
今は北斗さんの出張に三人のアルトがついていっており、残っているアルトはひとりだけだった。
このアルトは人懐っこくて人気があるが、今はどうしてだか元気がない。銀色の髪すらもシュンと垂れているように見えるし、レモン色のぱっちりした目が悲し気に垂れている。
「どうしたの?」
「義体、壊れちゃったみたい」
彼が両手を差し出すと、手首から先がぶらーんとしていた。
「なにやっても動かないの。なにもしてないのにぃ」
泣きそうなアルトに、なにをやらかしたんだろう、と思う。
「触るよ。痛くない?」
「うん。痛覚はオフにしてあるから」
めそめそするアルトの手を触ってみる。完全に折れているようで、なにをしてもまったくダメだった。
ぴこぴこっと音が鳴り、着信が告げられた。
「ちょっと待ってね」
私はディスプレイに向き直り、応答を押す。
『あ、ちょっといい? 秤だけど』
画面に現れたのは秤さんだった。
扉が開くと同時に甘えた声がして、私はディスプレイから顔をあげた。
いつもの研究室、入って来たのは黄色のメッシュに三つ編みがかわいいアルトだ。
事件が落ち着いたあと、四人のアルトは個室を用意してもらい、研究所に住んでいる。
今は北斗さんの出張に三人のアルトがついていっており、残っているアルトはひとりだけだった。
このアルトは人懐っこくて人気があるが、今はどうしてだか元気がない。銀色の髪すらもシュンと垂れているように見えるし、レモン色のぱっちりした目が悲し気に垂れている。
「どうしたの?」
「義体、壊れちゃったみたい」
彼が両手を差し出すと、手首から先がぶらーんとしていた。
「なにやっても動かないの。なにもしてないのにぃ」
泣きそうなアルトに、なにをやらかしたんだろう、と思う。
「触るよ。痛くない?」
「うん。痛覚はオフにしてあるから」
めそめそするアルトの手を触ってみる。完全に折れているようで、なにをしてもまったくダメだった。
ぴこぴこっと音が鳴り、着信が告げられた。
「ちょっと待ってね」
私はディスプレイに向き直り、応答を押す。
『あ、ちょっといい? 秤だけど』
画面に現れたのは秤さんだった。
< 1 / 11 >