突然、課長と秘密の関係になりました
 


 それから数日後、一彩は彰宏たちとともに取引先の会社を訪れていた。

 すると、後輩の杉田が、
「あっ、課長っ。
 すみませんっ。

 資料、印刷してくるの忘れましたっ」
ともう会議室に向かって歩いている段階で言う。

「……お前。
 西谷部長には大きな字で紙に印刷したのを持ってけって言っといただろ」
と杉田に彰宏が言う。

「別にデータをそのまま渡しても、怒られはしないが。
 その方が喜んでもらえるから」
と繰り返す彰宏は、ほんとうにただ、西谷部長に喜んで欲しいようだった。

 ちょっとわかる、と一彩は思っていた。

 西谷部長は人のいいおじいちゃんなのだ。

 いつも、うんうん、いいよいいよーって感じで笑ってくれる。

 ぜひ、お喜びいただきたいっ。
< 166 / 295 >

この作品をシェア

pagetop