突然、課長と秘密の関係になりました
『最近、なにをしていてもお前のことを思い出す。

 これは――

 もしや、恋なのか?』

 課長の言葉をいくつか思い出していたそのとき、一彩の中で、すべてのピースがパチパチパチっと綺麗にハマった。

「あっ!」
とバスの中で声を上げてしまい、何人かに振り返られる。

 すみません、すみません、と苦笑いしながら、一彩は頭を下げた。

 そうだっ。
 これは恋でもなければ、運命でもないっ!

『社食でデカい声で話してたのが聞こえてきたんだ』

 メガ盛りっ。
 健康ランドの割引っ。

 マッサージチェアッ。
 漫画コーナー。

 隠れ家レストランッ。

 全部、会社でしゃべったお得情報だっ。

 今日、私が用事があるという話が課長の耳に入ってたみたいに、たまたま近くにいた課長に、それらのお得情報が知らぬうちに刷り込まれていたのだろう。

 全然運命じゃないじゃんっ。

 ああ、この事実を今すぐ課長に知らせたいっ。
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