突然、課長と秘密の関係になりました
 


 月曜日。

 どんな顔して課長に会えばいいんだと思いながら出社した一彩は、エレベーターで早速一緒になってしまった。

 遅れて乗り込んだ一彩は、
「お、おはようございます」
と彰宏に頭を下げる。

「……おはよう」

 相変わらず、素っ気ない返事だが、妙な間があった。

 エレベーターには違うフロアの女性の先輩なども乗っていたので、挨拶して話しているうちに降りる階になった。

 先に彰宏が降りたあと、遅れて降りると、エレベーターの隅に立っていた同期の黒須(くろす)が、すすっとやってきて、

「お疲れ」
と言う。

「あ、お疲れ様ー」
と一彩は笑いかけたが、黒須はにやりと笑って言った。

「どうしたどうした。
 なんだか課長と怪しいじゃないか」

 長身の黒須は離れた角に立ち、上からこちらをじっと観察していたようなのだ。

「いやいや、
 なにも関係ないよ」

「そんなこと言ってて、いきなり結婚します~っとか。
 実は課長と一緒に住んでます~っとかいうのは、なしだぞ」

 ……一個だけ当たってる。

 意味が違うけど。
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