突然、課長と秘密の関係になりました
 



「すみません。
 結局、おごってもらってしまって」

 レジで揉めたが、強引に彰宏が払ってくれたのだ。

「まあ、お好み焼き代くらいおにいちゃんに払わせろ」
と言って赤くなる。

 なんかこっちまで照れるではないですか、と思いながら、家に帰ると、鴻上父の方がいた。

「やあ、一彩さん。
 お邪魔しているよ」
と見慣れた家のソファから昴は振り返ってきたのだが。

 ……なんだろう。
 お値段通りなお店で買った我が家のソファが舞台上に置かれているアンティークでゴージャスな椅子に見えてきた。

「まあ、短い間かもしれないけど。
 我が家で家族として暮らしませんか?」

 そう誘われ、はあ、と言いながら、一彩は思っていた。
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