推しにガチ恋ってアリですか⁉︎
やばい……全く聞こえてないよ……っ!
声の小ささを恨むねこれは!
「瑠亜?どうした⁉︎」
かろうじて片手を私の手に添えてくれた秀馬くん。
「あのね……足が、きゃっ!」
バタ、バタッ──!
ギュッと閉じていた目を開くと、広がったのは真っ白な秀馬くんの体育着で。
手と足に感じるのは砂の感触で。
「ってー……瑠亜、怪我ないか⁉︎」
「……っ!」
私はちょうど、倒れた秀馬くんに覆い被さっているような形になっていた。
いや本当は、私のせいで彼も転んでしまったのだけど。
「わっ、私は本当に全く大丈夫なの……!
それより秀馬くん……本当にごめんなさ、」
「いい、謝るなって。むしろ瑠亜を守れてよかった」
明るく笑った秀馬くんに、私の心も温かくなった。
「大丈夫、花野井さん⁉︎」
「牙城、花野井、立てるか?」
みんなも口々に声をかけてくれる。
私は目の前の大きな体に、何か言い切れない思いを感じた。