推しにガチ恋ってアリですか⁉︎
──パァン!
ピストルが鳴り、第一走者が走り出す。
俺(と牙城)はアンカー。
それまでに瑠亜が見つかるといいんだけど。
そんな思いも虚しく、気づけばスタートの位置にいた。
様子を見ると、残りの2クラスを引き離してCとDが競り合っていた。
「俺らで勝負だな」
Cのカラー、黄色のハチマキを巻いた牙城が呟く。
「はは、こんなに熱くなった体育祭初めて」
Dのカラー、緑色のハチマキを付けた俺が笑う。
「秀馬!」
「琳斗っ」
ほとんど同時にバトンを受け取った後、走り出した。
俺は足はまぁ速いほうだけれど、牙城も劣らず速い。
わずかに差が開いていき、俺は顔が歪むのを感じた。
ラスト1ターン。
あぁ、無理なのかな。
そう思った、時だった。
──「高峰くんっ」
小さくて、すぐ周りにかき消されたその声を。
俺は聞き逃すはずがなかった。
フォームが崩れないよう注意しながらその方を向くと。