† of Holly~聖の契約
「さようなご心配には及びませぬ。すでにこの身は穢れておりますゆえ、今さら、二、三の恥辱を味わおうと同じこと。それに、わたくしは自らを清められますゆえ」

「……強いのだな、お前は。さすがはあの巫女の妹君か」

「そのことについてなのですが」

私は首だけではなく、体を起こした。立ち上がると、いったいいつからそこで粘っていたのだろう、私の股から男の残したものが滴り落ちた。

まったく、嫌なものに気付いてしまったが、捨て置く。

どうせあとから祓ってしまえばいい。

牢獄の格子にしがみつき、男へ手を伸ばす。ひとえの胸ぐらを掴んだ。

「姉上は……姉上はほんに、自ら命を絶たれてしまわれたのですか……?」

男の眼差しが、私を見下ろしてくる。

こうしてしがみついてわかったが、彼は私より、頭ひとつ分大きかった。

音もなく彼が一歩、退く。

今の私の手は、大した力も入れられない。簡単に、男は私から離れてしまった。
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