† of Holly~聖の契約
「問答に問答で変えすらは義に反するだろうが……こちらから先に問わせてもらおう。お前、異常とはなんと思う?」
「異常……?」
考えている間に、男の姿が座所に遠ざかっていく。
この牢獄は地下だ。苔臭い通路の先に、階段があることだけ知っている。
男はさっさと行ってしまう。
人の質問に答えず、人に質問を与え、そのどちらも中途半端なまま、いったいどこへ行くというのか。
現れた時もそうなれば、去る時もまたなんと不躾だろうか。
もはやほとんど闇に溶け込んでいる男は、
「また来るぞ」
声だけを送ってきた。
「その時に答えを聞こう。その答えに応じて、お前の問いにも答えるとするさ」
「……約束してくださいますか」
問うたものの……男の声が返事をすることは、なかった。
静寂が窮屈な牢獄の中で臓物のように、とぐろを巻く。
「異常……?」
考えている間に、男の姿が座所に遠ざかっていく。
この牢獄は地下だ。苔臭い通路の先に、階段があることだけ知っている。
男はさっさと行ってしまう。
人の質問に答えず、人に質問を与え、そのどちらも中途半端なまま、いったいどこへ行くというのか。
現れた時もそうなれば、去る時もまたなんと不躾だろうか。
もはやほとんど闇に溶け込んでいる男は、
「また来るぞ」
声だけを送ってきた。
「その時に答えを聞こう。その答えに応じて、お前の問いにも答えるとするさ」
「……約束してくださいますか」
問うたものの……男の声が返事をすることは、なかった。
静寂が窮屈な牢獄の中で臓物のように、とぐろを巻く。