放課後、先生との秘密
31話 先生side 誤解
先生side_________
ついに夏休みが終わった
教室のドアを開けた瞬間、真っ先に探したのはもちろん葵。
……けど
葵は下を向いて、全然俺の方を見ようとしない。
夏休みの間、ずっと会いてぇって思ってたのは俺だけだったんかな……
この日の為にかっこいいって葵に思われたくて
髪も染めて、ちょっと服装もオシャレにして…
周りの生徒にかっこいいとか言われても全然嬉しくなくて、あいつに言われるのを求めてた。
何分か経って葵が俺を見た
すっげぇ目がキラキラしてたな
かっこいいって思ってくれた?
けど俺はわざと目を合わせないように意地悪した
そしたら葵は「なんで合わないの?」みたいな顔してて、いやもう可愛すぎか!お前ほんとなんなんだよ
雑談しててもずっと葵のことばっかり考えてた
元から授業なんかする気はなかった
初日からそんなん誰も求めてねぇだろ
所々で「先生彼女できたでしょ〜」なんて冷やかされるけど、
お前らは知らねぇんだよな
俺がずっと葵しか見てねぇってことも、
実は俺らはもう気持ちが通じ合ってるってことも
そう思うだけで、俺は優越感でいっぱいになる
俺はふとこの雑談を使って葵と会話しようと思った。
俺やっぱ頭いいわぁ
「坂木は夏休み何してたんだよ」
さっきまでの雑談の流れで、あえて指名してみた
葵、驚いた顔してるな可愛い!!
ナチが茶化して笑いを飛ばす
クラス中がざわつく
あぁ付き合えたら幸せなんだろうな
「なつやすっ……」 「へーおもろそっ」
葵が言う前にわざとかぶせてみる
反応は……やっぱりちょっとムッとしてるな
くっ、かわいい!ほんとなんなんだよこいつ
可愛すぎて俺の負けだわ
「まだ言ってねぇんだよ」
って突っ込まれて、内心ニヤける。
周りの声も気になるけど、全部耳に入ってない
俺の視線は葵だけ。
あいつの反応が楽しすぎる。
「んで?坂木は結局どこ行ったんだよ」
また葵に振る
「う、海行った昨日友達と」
へー昨日ねぇー
友達って誰だよヒラか?フジか?こーすけか?
俺の知ってる人?誰なんだよ…
泳いだん?水着着たん?露出したやつ?
俺以外に肌見せんなよ……
いやいや待て俺すら見てねぇのにありえない
聞かなきゃよかったな……
そんな嫉妬心を出さないように
「ま、夏っぽくていいなぁ…俺は…」
「……まぁ、楽しかった夏だったよ」
って返した。
ほんの少し目線を落として、意味深に言った。
全然葵に会えなくて寂しくて、おもんなかったけど嫉妬して欲しいから
またいじわるしてやる
てか隣のレトはずっと葵の方見てるけどなんなん?無駄にムカつくからやめろ!!
そうしているとチャイムがなった
やっと葵と喋れる
てかよーく見たら新しくピアス開いてね!?
ちょー似合ってんじゃねぇか
可愛すぎだろ
可愛すぎてニヤニヤしそうになる。
クラスのみんなの視線なんて今はどうでもいい。
ずっと葵に会いたかったんだよ
「よぉ葵っ!ピアスにあっ…え、ちょっ」
俺の声が聞こえたはずなのに、葵は無視してダッシュして体育館に向かっていく。
その背中を見て、思わず足を止める。
――あれ、無視された?
俺なんか悪いことしたっけ?
さっき指名で当てたから?
怒らせたかな…
もちろん、無理に追いかけるわけにはいかない
人生初の葵からの無視
普通にダメージでけぇ……
放課後
図書室へ向かう。
やっと葵に会えるわ〜とか考えながらドキドキして扉を開けると、いつも先に来ているはずの葵はいなかった
「……今日は来てないのか?」
10分ほど待ってみたけど、来る気配はない。
帰っちゃったのかな、なんて思いかけたその瞬間、扉が開いた。
葵!?
と声を上げそうになったけど、入ってきたのはリアだった。
こいつ無駄に高い声で喋るから頭キーンってなる
「せんせっ!やっぱりここにいたんだね迎えに来たよぉ」
あ、なるほど。1限目に言ってた「テニス部に遊びに来て!」のアレか。
無理やり行かされんのかこれ
「あー後で行くから待ってて」
「だーめ!一緒に行こっ!!」
心の中でちょっとだけ文句を言いそうになったけど、まあ、仕方ない。
それに、テニスコートに出てみるとついテンションも上がるし体を動かせて楽しい
30分ほど経った頃、ふと茂みの方に目をやると、チラチラと人影が見える。
よく目を凝らしてみると……葵だぁ!!!
俺の方を見ているのか、それとも偶然か。
少し離れているけど、その存在だけで胸が高鳴る。
俺は思わず
「葵じゃん!!!」
と叫びながら走っていた
明らかに葵が動揺してるのが分かる。
体は逃げようとしてるみたいだけど、完全に固まってる
なんでだよ……
「お前委員すっぽかすなよ〜暇だったからこっち来ちまったじゃねぇか」
ほんの少し悪戯っぽく話しかける。
だけど葵の返答は無かった
てか足怪我してね?
こいつどこまでドジなんだよ
「ん?どうした?てか足怪我してるけど大丈夫か?ほんとお前ドジだなぁ」
今回も返事はなかった
なんか嫌な予感がすんのは俺だけか?
俺やっぱり嫌われちまった?
「葵機嫌わりぃの?」
軽く笑いながらナチに声をかけると、ナチも気まずそうに
「いやそんなことないと思うけどあはは……」
どうしたんだよ……
すると後ろからリアが俺の手を軽く引っ張る。
「せーんせっ!試合始まっちゃうよ!」
邪魔すんなバカ女
今葵と話してんだよ
いやもしかして葵怪我させたんお前か?
そう考えたらその声も全部なんかムカつくわ
次の試合でボコしてやろ
俺は葵に向けて最後に頭を軽く撫でる
「じゃあな葵っ!」
と言ってコートに戻った
終始辛そうな顔してたな
俺のせいでそんな顔させてるんかな
あぁやっぱりあの時腕組んでたの見られてたんかな…
もしかして葵に今の俺は女たらしに見えてんじゃねぇのか?
夏休みもそんなことばっかり考えさせてしまってたかもしれない
俺はほんと酷い人間だな
誤解だって今すぐ言いに行きたい
けどもう姿は見えない
できるなら、すぐにでも抱きしめて「俺はお前しか見てねぇ」って言ってやりたいのに……
はぁ、俺ほんとバカだなぁ
このままだと葵が遠くに行っちまいそうで怖い…
はぁどうしたらいいんだよ……
罪悪感の塊みたいなものが、胸に重くのしかかる
けどなんとしてでも誤解を解かないと
ちゃんと話さないと
このまま勘違いされて今までの事が無かったことになるなんて、絶対嫌だ
先生side_____END
次の日 朝6時頃
いつもより2時間くらい早く目が覚めて、リビングに行くとゲームしてるヒラがいた
ついに夏休みが終わった
教室のドアを開けた瞬間、真っ先に探したのはもちろん葵。
……けど
葵は下を向いて、全然俺の方を見ようとしない。
夏休みの間、ずっと会いてぇって思ってたのは俺だけだったんかな……
この日の為にかっこいいって葵に思われたくて
髪も染めて、ちょっと服装もオシャレにして…
周りの生徒にかっこいいとか言われても全然嬉しくなくて、あいつに言われるのを求めてた。
何分か経って葵が俺を見た
すっげぇ目がキラキラしてたな
かっこいいって思ってくれた?
けど俺はわざと目を合わせないように意地悪した
そしたら葵は「なんで合わないの?」みたいな顔してて、いやもう可愛すぎか!お前ほんとなんなんだよ
雑談しててもずっと葵のことばっかり考えてた
元から授業なんかする気はなかった
初日からそんなん誰も求めてねぇだろ
所々で「先生彼女できたでしょ〜」なんて冷やかされるけど、
お前らは知らねぇんだよな
俺がずっと葵しか見てねぇってことも、
実は俺らはもう気持ちが通じ合ってるってことも
そう思うだけで、俺は優越感でいっぱいになる
俺はふとこの雑談を使って葵と会話しようと思った。
俺やっぱ頭いいわぁ
「坂木は夏休み何してたんだよ」
さっきまでの雑談の流れで、あえて指名してみた
葵、驚いた顔してるな可愛い!!
ナチが茶化して笑いを飛ばす
クラス中がざわつく
あぁ付き合えたら幸せなんだろうな
「なつやすっ……」 「へーおもろそっ」
葵が言う前にわざとかぶせてみる
反応は……やっぱりちょっとムッとしてるな
くっ、かわいい!ほんとなんなんだよこいつ
可愛すぎて俺の負けだわ
「まだ言ってねぇんだよ」
って突っ込まれて、内心ニヤける。
周りの声も気になるけど、全部耳に入ってない
俺の視線は葵だけ。
あいつの反応が楽しすぎる。
「んで?坂木は結局どこ行ったんだよ」
また葵に振る
「う、海行った昨日友達と」
へー昨日ねぇー
友達って誰だよヒラか?フジか?こーすけか?
俺の知ってる人?誰なんだよ…
泳いだん?水着着たん?露出したやつ?
俺以外に肌見せんなよ……
いやいや待て俺すら見てねぇのにありえない
聞かなきゃよかったな……
そんな嫉妬心を出さないように
「ま、夏っぽくていいなぁ…俺は…」
「……まぁ、楽しかった夏だったよ」
って返した。
ほんの少し目線を落として、意味深に言った。
全然葵に会えなくて寂しくて、おもんなかったけど嫉妬して欲しいから
またいじわるしてやる
てか隣のレトはずっと葵の方見てるけどなんなん?無駄にムカつくからやめろ!!
そうしているとチャイムがなった
やっと葵と喋れる
てかよーく見たら新しくピアス開いてね!?
ちょー似合ってんじゃねぇか
可愛すぎだろ
可愛すぎてニヤニヤしそうになる。
クラスのみんなの視線なんて今はどうでもいい。
ずっと葵に会いたかったんだよ
「よぉ葵っ!ピアスにあっ…え、ちょっ」
俺の声が聞こえたはずなのに、葵は無視してダッシュして体育館に向かっていく。
その背中を見て、思わず足を止める。
――あれ、無視された?
俺なんか悪いことしたっけ?
さっき指名で当てたから?
怒らせたかな…
もちろん、無理に追いかけるわけにはいかない
人生初の葵からの無視
普通にダメージでけぇ……
放課後
図書室へ向かう。
やっと葵に会えるわ〜とか考えながらドキドキして扉を開けると、いつも先に来ているはずの葵はいなかった
「……今日は来てないのか?」
10分ほど待ってみたけど、来る気配はない。
帰っちゃったのかな、なんて思いかけたその瞬間、扉が開いた。
葵!?
と声を上げそうになったけど、入ってきたのはリアだった。
こいつ無駄に高い声で喋るから頭キーンってなる
「せんせっ!やっぱりここにいたんだね迎えに来たよぉ」
あ、なるほど。1限目に言ってた「テニス部に遊びに来て!」のアレか。
無理やり行かされんのかこれ
「あー後で行くから待ってて」
「だーめ!一緒に行こっ!!」
心の中でちょっとだけ文句を言いそうになったけど、まあ、仕方ない。
それに、テニスコートに出てみるとついテンションも上がるし体を動かせて楽しい
30分ほど経った頃、ふと茂みの方に目をやると、チラチラと人影が見える。
よく目を凝らしてみると……葵だぁ!!!
俺の方を見ているのか、それとも偶然か。
少し離れているけど、その存在だけで胸が高鳴る。
俺は思わず
「葵じゃん!!!」
と叫びながら走っていた
明らかに葵が動揺してるのが分かる。
体は逃げようとしてるみたいだけど、完全に固まってる
なんでだよ……
「お前委員すっぽかすなよ〜暇だったからこっち来ちまったじゃねぇか」
ほんの少し悪戯っぽく話しかける。
だけど葵の返答は無かった
てか足怪我してね?
こいつどこまでドジなんだよ
「ん?どうした?てか足怪我してるけど大丈夫か?ほんとお前ドジだなぁ」
今回も返事はなかった
なんか嫌な予感がすんのは俺だけか?
俺やっぱり嫌われちまった?
「葵機嫌わりぃの?」
軽く笑いながらナチに声をかけると、ナチも気まずそうに
「いやそんなことないと思うけどあはは……」
どうしたんだよ……
すると後ろからリアが俺の手を軽く引っ張る。
「せーんせっ!試合始まっちゃうよ!」
邪魔すんなバカ女
今葵と話してんだよ
いやもしかして葵怪我させたんお前か?
そう考えたらその声も全部なんかムカつくわ
次の試合でボコしてやろ
俺は葵に向けて最後に頭を軽く撫でる
「じゃあな葵っ!」
と言ってコートに戻った
終始辛そうな顔してたな
俺のせいでそんな顔させてるんかな
あぁやっぱりあの時腕組んでたの見られてたんかな…
もしかして葵に今の俺は女たらしに見えてんじゃねぇのか?
夏休みもそんなことばっかり考えさせてしまってたかもしれない
俺はほんと酷い人間だな
誤解だって今すぐ言いに行きたい
けどもう姿は見えない
できるなら、すぐにでも抱きしめて「俺はお前しか見てねぇ」って言ってやりたいのに……
はぁ、俺ほんとバカだなぁ
このままだと葵が遠くに行っちまいそうで怖い…
はぁどうしたらいいんだよ……
罪悪感の塊みたいなものが、胸に重くのしかかる
けどなんとしてでも誤解を解かないと
ちゃんと話さないと
このまま勘違いされて今までの事が無かったことになるなんて、絶対嫌だ
先生side_____END
次の日 朝6時頃
いつもより2時間くらい早く目が覚めて、リビングに行くとゲームしてるヒラがいた