放課後、先生との秘密

36話 修学旅行 2日目

2日目



朝6時



先生の夢を見ていたらナチに叩き起された。


ナチ「葵起きろ!集合時間遅れるぞ!」

葵「…んん...なぁーに?今いいとこだったのにぃ.......」

モブ2「寝すぎだって」

モブ1 「あと30分でロビー行かないと怒られるよ!」


葵 「え?なんで誰も起こしてくんない?!!」

ナチ 「ずっと起こしてたけど起きなかったんじゃん!!」
「マジで置いてくぞ」




あたしは急いで今日の準備をして部屋を出た
ロビーにはもうみんな集まっててみんな眠そう。


担任 「みんなおはよ全員いるか???今から4時間かけて稚内方面に向かう。今日はちょっと寒いらしいから上着ちゃんと着とけよ?
山登り用の服とかちゃんと持ってきてるかー?確認できたらバスに乗れよ〜」



担任の声がロビーに響く。
眠そうにあくびしてる子、テンション高くはしゃいでる子、みんなそれぞれで朝から騒がしい。


外は肌寒く、みんな口をそろえて「さむっ!」と声を上げていた。
バス移動の2時間半は、お菓子を回したりトランプしたり。

ナチは隣でイヤホン半分こして音楽を聴きながら窓の外を眺める。
ヒラは後ろの席から時々話しかけてきて、



「ねぇ〜さっきコンビニで買ったおにぎり、ツナマヨだと思ったら昆布だったんだよ。地味にショックなんだけど」


とか、正直どうでもいい話ばかり。



「え、それ今言う必要ある?」と返すと、


「いや、大事件でしょ!!」と言ってくる。


そのやりとりを聞いていたナチは、イヤホンを外して「ほんとにどうでもいい…」と笑っていた。



一方その頃



清川先生side____
朝の光が差し込む職員室。
ふと机の時計を見るともう朝の7時。
あぁまた学校で寝落ちしてしまった。
最近こんなんばっかだな...
しかも祝日だから誰もいねぇし


「はぁ.....」


思わずため息がでる
葵不足なのかなんなのか


今葵は北海道で何してんだろ。
誰と何を喋ってるんだろう。
めっちゃくちゃ会いたいと思ってるのは俺だけなんかな.....あぁ病みそう


あいつ可愛いから誰かに告られてそっちに行っちまったら........

最近の葵何考えてるかわかんねぇし正直ありえる


もう嫌
本当にそんなことになったら俺どうなっちゃうんだろう


「俺も行きたかったな...」


葵の担任俺がしたかったな...北海道一緒に行けたのに。
部屋とか連れ込んだりんふふ
んな事しねぇけど

今日って稚内で登山だっけ
あいつの事だから転けたりしそうだな.......



てかうっしーにも会いたいわ
帰ったら電話しようかな
いや、迷惑か...無理やりにでも葵の声が聞きたい



「……っつか俺、何やってんだろ」


頭をガシガシとかいて、机の上に広げたプリントを見下ろす。
小テストの採点、課題のチェック。やることは山ほどあるのに、目の前の文字が頭に入ってこない。

よし帰って寝よう今日から三連休だし


ポケットの中で携帯が震える。
でも画面を見ても、もちろん葵の名前なんて出てくるわけがない。LINE...交換すれば良かったな


「……会いてぇ」


小さく呟いて、
葵の家の前を通ってから家に帰った。


玄関の前に立つと、いつもより違和感を感じた。



軽くドアノブを引っ張るとドアが少しだけ開いた。


「……え、は?!」



俺、昨日ちゃんと鍵閉めたよな?
一気に背筋が冷える。


恐る恐るドアを押し開けると、リビングの方からわずかな物音。
心臓が跳ね上がる。

「……だ、誰かいんの?母さん?」

声を震わせながらリビングへと足を踏み入れる。




恐る恐る中に入ると、リビングのソファに――ララが座っていた。

「……はっ、怖っ!!なんで……ここにいんだよ!!?」


頭が真っ白になった。だって、ララは北海道にいるはずだろ。
鍵を閉め忘れたとして、なんで勝手に入ってんだよ。てか俺家がどこにあるかなんて教えてない...
疲れすぎて幻覚見てんのか?

それにしてもやばい怖すぎる。


「おかえり〜キヨくん遅かったね!びっくりした?」


いつもと変わらない調子で、にやっと笑う。


「お前住居侵入罪で捕まってくれ、てか通報すんぞ」


普通にやばいだろこれ。


「それだけはやめてね?」

「なんで俺ん家知ってんの?てかどうやって入った?」

「んー東京来る前にたまたまキヨくんのお母さんに会ってさ、今元気か見てきてって言われて合鍵渡されて家の場所も教えて貰ったの」


「……はぁぁぁ!?」

思わず声が裏返った。
いやいやいや、どういう状況だよそれ。
まじで俺の母さんどんな神経してんだよ。よりによってこいつ


「なんで元カノに俺の家任せんだよ!」

「だって、ララなら安心だと思ったんじゃない?」

「どこがだよ!!!」


ソファに肘つきながらニコニコしてるララ。
まるで、ここが自分の部屋ですみたいな顔して。

俺は頭抱えた。
北海道にいるはずの元カノが、勝手に合鍵で入って待ち構えてるとかホラーよりタチ悪い。
ヒトコワすぎる。


「……なぁララこれ普通に警察沙汰だからな」

「やだ、キヨくん冷た〜い“おかえり”くらい言ってよ」

「いやいやおかえりじゃねぇし」

「でもさ……会いたかったんだよ?」


急に声が少しだけ真面目になった。
笑ってた目が、一瞬だけ寂しそうに揺れる。

俺はその表情をみて呆れた。
前とまた同じ手を使うんだな。


……やばい。
面倒なことになる予感しかしない


「……てか帰ってくんね?邪魔」

「え?無理だよホテル予約してないべ」

「は?そんな軽いノリで言うことじゃねぇだろ」


マジでなんなんだこいつ。
ここまで自分のことしか考えてないやつ見たことない。


「だって3日間いる予定だもん」

ララは当たり前みたいに言い放って、ソファに深く腰掛けた。

「み、3日間!?ふざけんな俺んちホテルじゃねーんだよ」

「ララに野宿させるの?」

「お前がホテル取らねぇのが悪ぃだろ」
「俺の三連休がっ!!」


「んふふまぁまぁ落ち着いて」

にやにや笑いながら、勝手にテーブルに置いてあった麦茶を注いで飲みだす。


「……はぁぁ!?お前ほんと頭おかしい」


頭抱えたくなる。けど、追い出せる雰囲気じゃない。
いや、追い出した方がいいのはわかってるんだけど――

ララは俺の動揺を面白がるみたいに、目を細めてじっと俺を見ていた。


「ねぇ、そんな顔しないでよ〜」

「てか何しに東京来たんだよ」

「んー内緒!」

「は?うぜぇ」

「んふふ冗談だよ〜仕事でちょっとね!夜は仕事でいないから」


夜の仕事ってなんの仕事してんだこいつ
はぁまじで.......



「……あぁ、もう……しょうがねぇな」


結局、俺はため息交じりに肩をすくめるしかなかった。
ララは嬉しそうに笑い、俺の手を取ってララの隣に無理やり座らされた。


「いいか?しゃーなし泊めてやるから俺に触んな。お前は今からただの同居人」

「んふふありがとう!でも最終的にキヨくんから触れてくるかもね」


その言葉に虫酸が走った
んなわけねぇだろ。

俺はその手を振りほどいて風呂場に向かった

ため息をつきながらシャワーを浴び、熱い湯で少し頭を冷やす。
体を洗い終わり、湯船につかるとやっと少し落ち着く。


「なんでこんなことになるんだよ」


3日間嫌いな奴が俺ん家にいるってなんの地獄だよ。

マジで母さん何してくれてんだ。
俺は一旦母さんに怒りのLINEを送った。


「葵だったら良かったのに...」


葵だったら喜んで3日間以上泊めさせるのに。
あーめっちゃくちゃ会いてぇ
ぎゅーしたい、手も繋ぎたい、笑顔がみたい、声が聞きたい、好きって言いたいし、あわよくばキスだって.....んふふ

思わず顔がニヤけてくる。

まじで早く付き合いたいな。



風呂から上がり、リビングに戻るとララはソファでうつ伏せになり寝ていた。



「……よっしゃ」

起こさないようにそっと寝室に向かった。
ドアを閉めると、やっと少し心が落ち着く。

布団に潜り込み、目を閉じる。
ララが隣にいない安心感と、葵への思いで胸がいっぱいになる。

寝る前にもう一度スマホを見て、葵のことを考えながら目を閉じた。


葵の夢見れたらいいなぁ……




清川先生side____END


バスの揺れで目が覚めた。
外を見ると一面の広い空と山が近づいてきていて、時計はもう10時を指している。

「着いたぞー!」って担任の声が響いた瞬間、みんなざわざわと動き出した。
ナチは眠そうにあくびして、隣で髪をぐしゃぐしゃに直している。

「……あ、もう着いたんだ」
寝起きの声が少し掠れて、自分でも情けない。

「葵めっちゃ寝てたね」

後ろからヒラが覗き込んでくる。



バスを降りると、空気が一気にひんやりしてて思わず身震いした。
マイナスってほんとなんだ……。息を吸うと冷たさで胸が痛い。


「寒っ!」って声があちこちで飛び交っている。
てか今日は雨が降るらしい。
そんなんで登山させんなよ。


集合場所の食堂に案内されて、早めの昼食が用意されていた。
鮭の塩焼きに味噌汁、それから温かいご飯。シンプルだけど、冷えた体にはすごく沁みる。

「ん〜うまっ!」ってナチが思いっきり声をあげて、思わず笑ってしまった。


ふと、頭に浮かぶのは――先生のこと。
今、先生は何してるんだろ。

……会いたいな


外に出るともう登山の準備が始まっていた。
先生たちが列を作らせて、点呼を取ってる。

そのとき、ナチが顔をしかめて立ち止まった。

「……待って、ちょっとやばいかも」

「え?どうした?」

「昨日からなんかお腹の調子悪かったんだけどさ、まじでさっきより痛くなってきた」

確かに顔色が悪い。さっきまで元気そうだったのに急に青ざめてて、これは嘘じゃないなってすぐにわかった。

担任が駆け寄ってきて事情を聞くと、

「じゃあ無理だな板倉は下で待機。保健の先生と牛沢先生がついてるから安心しろ」

と言われた。

「……ごめん、葵」

ナチが申し訳なさそうに笑う。

「なに謝ってんの、仕方ねぇじゃんちゃんと休んどいて」


結局、リアは修学旅行に来てなくて班のメンバーは――ヒラ、あたし、玲斗くんの3人だけ。

だぁぁぁ気まずい!!

そうしていると玲斗くんが話しかけてきた


玲斗「おはよ!めっちゃ眠そうやなぁ」

葵 「おはよぉ眠たい」

ヒラ「葵はいつも眠たいもんねぇ?」


ヒラが玲斗くんを少し睨みながら言った


やめて?もっと気まずくなったよ?


ヒラ「……よし、俺達も行こっか!」


先頭を歩き出したのはヒラだった。
リュックを背負った背中が妙に頼もしく見える。
伊達にPEAKばっかりやってんじゃないんだな


玲斗「葵、荷物重かったら言ってな??いつでも持つから」

横から玲斗くんが声をかけてくる。

「だ、大丈夫……」

にこっと笑って返したけど、余計にヒラの背中がぴくりと動いた気がした。


ヒラ「いや、葵のは俺が持つからいい」

あぁ、空気が張り詰めてる。
沈黙がしんどい。
木々のざわめきと足音だけが響いて、心臓の鼓動がやけに大きく聞こえる。

ど、どうしよう……このままだと登山が修行になる!!

必死で話題を探すけど、頭に浮かぶのは「疲れた」とか「暑い」とか、そんな言葉ばっかり。
何か楽しい話題……楽しい話題……!


ヒラ「そういえばさ頂上について好きな人に告白したら叶うらしいよ」

葵 「それこの前も言ってたね」

良かったぁヒラが話題出してくれた
でもすっごいタイムリーな話題やめてくんねぇかな


ヒラ 「葵に告ったら叶うのかな〜!!」

葵 「叶いません!っていうのもあれだけど」

ヒラ 「ひどーい!てかさフジとナナが同じクラスで同じ班だったら良かったのにね」

葵「それな?でもフジがそんなロマンチックなことできんの?」

ヒラ 「めっちゃ緊張して噛んでそう」

葵「『す、す……好きですっ!』とかな」

ヒラ「それでもナナは笑って受け入れてくれそうだね」

葵「うわ、想像できる」


ヒラとお腹を抱えて笑いながら、二人の世界に入ってた。
……ふと、横にいる玲斗くんの存在を思い出す。


怖くてチラッと横目で見たら、彼は相変わらず黙ったまま前だけを見て歩いていた。


気まずすぎる。ヒラと玲斗くんって同じ部活なんだよね?ヒラもっと話しかけなさいよ!!

もうどうしたらいいかわからない。

そのとき――

「……俺もさ」

不意に、玲斗くんの声がした。

振り返ると、彼は真っ直ぐこっちを見ていて。
心臓がドキッと跳ねた。

「俺……頂上で言いたいことがある」

ヒラ 「へ〜誰に?なにを?」


茶化すように言ったけど、その目は笑ってなかった。


玲斗「……言う必要あんの?」

短く返す。さっきまでの柔らかさは消えて、冷たい視線でヒラを睨んでいた。
もうやめて欲しい。

この空気感のせいか若干さっきより寒くなってきた。


ヒラ「へぇ〜、言えないんだ?まあ、だよねぇだって相手が――」

そこでわざと、ヒラはあたしをチラッと見た。


玲斗「何?何が言いたいの?」

ヒラ 「別にー?その人のことなーんも知らないくせに」



まじでこれ喧嘩じゃん
あたし止めていいの?止めさせてくんない?
気まずいよあたしを挟んで喧嘩しないで?


玲斗「……知らないって、何が」

声が低くなって、空気が一瞬凍った。

ヒラ「ほら、またムキになったねわかりやすー」

ヒラがわざと挑発するみたいに笑ってて、空気がギスギスしていく。

ま、まじでやめて。


30分後
気づくともう中間地点まで来ていた
あとちょっとで頂上かな。
この人たちずーっと言い合ってんだけど
仲良いんだか悪いんだか。



ヒラ 「俺、レトなんかに葵は渡さない」

あーあついにあたしの名前出ちゃった
勘弁してよ


玲斗 「何言ってんの?葵は物じゃないんやからさ」

苦笑いみたいに肩をすくめて言う玲斗くん
けど目は全然笑ってない。

ヒラ 「は?そういう意味で言ったんじゃねぇよ」

玲斗 「じゃあどういう意味?」

ヒラ 「……レトには似合わないって言ってんの!」

ぐっと前に出るヒラ。
こんなヒラ見たことないよ。
まじで怒ってんじゃん。
あぁどうしたらいいんだ
玲斗くんは逆に一歩下がって、わざとらしくため息をつく。

そんな空気感を表すかのように雨が少しずつ強くなってきた

玲斗 「……俺に似合わないとか、ヒラが決めることじゃないやろ?」

ヒラ 「決めるとかじゃねぇよ俺はずっと葵のこと見てきた」

玲斗 「へぇ……じゃあ“見てただけ”なんや」

その一言でヒラの表情が一瞬固まる。
やめてよ二人とも、あたしここにいるんだから!!

ヒラ 「……ッざけんなよ」

足音を強く響かせて早歩きになるヒラ。
玲斗もそれに合わせるみたいに、黙って歩幅を広げるから、あたしは必死で追いかけるはめに。


葵「ちょ、待ってっ置いてかないで!」


呼びかけても二人とも振り返らない。
だんだん雨粒が強くなってきて、地面もぬかるんで滑りやすくなっていく。

――そのときだった。


「……っ、うわあ!」


足を踏み込んだ瞬間、右足首に鋭い痛み。
思わず声を上げてしゃがみ込むと、冷たい雨が容赦なく体を叩きつけてきた。


ヒラ 「えぇ葵大丈夫??!」


ヒラが焦った顔をして一目散に駆け寄って来てくれた。
痛くて泣きそうなのをグッとこらえる。
あと寒くて手が震えてきた


玲斗 「足くじいてもた?ほんまにストレッチ教えたら良かったごめん」


ほんとにそうだよ玲斗くん。
まぁあたしがいちばん悪いけど。
足が痛すぎて力が入らなくて立てない...
どんどん服が濡れていって寒い。


ヒラ 「立てない?」

葵 「いやっ立てるから.......ううっ」


情けない声が漏れて、視界がじわっと滲む。

ヒラが支えてくれて何とか立てた。
だけど動ける気がしない。
もうちょっとで頂上なのに。
あたしのせいで.........


葵「ごめんっ.......二人で頂上めざして?」

ヒラ「嫌だ1人にできない」

葵 「ヒラぁぁっ」


半泣きのあたしにヒラは頭を撫でてくれた。


玲斗 「大丈夫?」

ヒラ 「とりあえずあそこの休憩できるとこ行こ」


そう言ってヒラが肩を貸してくれた
休憩できるって言っても吹き抜けで雨は凌げても風は直で来る。
手の震えがより一層強くなった


ヒラ 「寒いよね俺の服着てて」

葵 「でも.....ヒラがっ」

ヒラ 「俺は大丈夫だから」


ヒラが上着を貸してくれた
こいつはなんでこんなにも優しいんだよ...
それでも手の震えが止まらなくてヒラはあたしの肩を抱き寄せて手を握ってくれた。

その様子に玲斗くんは凝視してる。
目線が痛い



玲斗 「な、ヒラ先生呼んできて」

ヒラ 「は?レトが行けよ俺は葵のそばにいるから」

玲斗「いや、俺がここに残るからヒラが行った方が早いやろ」

ヒラ「嫌に決まってんじゃん」

玲斗「嫌ってなんやねん葵このまま放置するん?」

ヒラ「いや、俺がいた方がいいしょ?レトが行ってきて」
「自分の事じゃなくて葵のこともっと考えたほうかいいんじゃない?」

二人の視線が火花散らすみたいにぶつかる。
あたしはただ寒さで震えて、二人の声が頭に響いてくる。

「やめてよ……」って言いたいのに、声が出ない。

玲斗は一瞬だけあたしを見て、苛立ったように息を吐いた。


玲斗「いいから行けよ早く」

ヒラ 「あぁもうわかったよ行ってくる。けど約束して.....」


玲斗 「なに?」

ヒラ 「葵になんかしたら絶対許さない」


ヒラがいつもより低い声でそう言った。
正直ヒラに行って欲しくないけど、
そんなこと言える状況じゃない...

玲斗「俺の事なんやと思ってんねん」


ヒラは返事をせずに立ち上がって「すぐ戻ってくるから」と言ってダッシュで降りていった。


き、気まずい

隣に玲斗くんが座ってきた。
もうなんか眠たいし、寒いし、足痛いし意識が飛びそう。

玲斗 「大丈夫?体震えてる」

葵 「ちょ.......っと...やばい.....かも...」

玲斗 「こんなとこで寝たらあかんよ?意識保ってな?」

葵 「うん...」

玲斗 「ヒラが戻るまで、俺ちゃんとそばにおるから」

葵「うん.....」


もう「うん」としか言えない
さっきより瞼が重くなっていく。


けど返事しなきゃ...




玲斗くんが何を言ってるか全然頭に入ってこないけどとりあえず「うん」とだけ言った。

けどもうこのしんどさに耐えられなくて、瞼を閉じた。


意識が遠のいて行く中で玲斗くんがあたしを抱き寄せて、反抗したかったけどそこで意識を失った。

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