放課後、先生との秘密
7話 私の居場所
あれから昨日のマリカーの話とかいっぱいナチに話をしてアイスを奢ってもらった。
「これで今日はがんばれそうだね」ってナチが言ってくれたのが、なんか嬉しかった。
教室に入るとわたしの椅子にこーすけがいた
「あ、こーすけじゃん」
「葵おはよ!」
こーすけが満面笑みでこっちを見てくる
なにがそんなに嬉しくて、楽しくて笑顔になれるんだよ、
「お前さぁ、人の席でくつろぎすぎじゃね?」
「えー?今日からここが俺の指定席ってことで」
「やめろ」
軽口をたたきながらも、こうして笑って話せる時間が少しでも続けばいいって、どこかで願ってた。
「で、どしたん」
「俺近いうちにもう家出てこうと思ってさ」
「は?お母さんはどうするの?私は?ねぇ1人にしないでよっ」
気づけば息を吸うのさえ忘れてしまうくらいに
取り乱していた。
こーすけが居なくなれば、母親はきっとあたしにキツく当たり出すだろう
そんなことを考えたら、とても耐えれなかった
「落ち着けって」
「落ち着けるわけないでしょ!あんたがいないと私はっ」
声が震えた。言葉の続きが喉につかえて、出てこなかった。
こーすけは黙って私の頭に手を乗せた。
「……大丈夫だって。葵なら大丈夫」
その言葉、ずるいよ。
わかってないくせに、簡単に言わないでよ。
「俺だってしんどいんだよ、葵も苦しいのわかるけど、あの家ほんとに地獄じゃん。笑えないって」
「ふざけんな!!逃げんなよっ!!!お前はお母さんに愛されてるくせに、何が地獄だよ!!」
無意識に大きい声を出していた
クラスメイトがこっちを見る。気まずいとか今はもう何も考えられない。
「ごめんでもそういうことだから」
「ありえないって……」
涙がこぼれた。こーすけの前で泣きたくなかったのに。
「泣かないでくれよっ」
「ちょっと来い」
あたしはこーすけの腕を掴んで屋上へ向かった
今すごい顔してんだろうな
ナナが目の前にいて目が合って名前を呼ばれたけど、返す余裕なんて今は持ってない
あれ、今清川先生とすれ違った気が、、、気のせいだね。気のせいであって欲しいこんな顔見られたくない。いつでも元気なあたししか知らないで欲しい。
屋上のドアを開けると、冷たい風が頬を撫でた。
なのに、体は熱くて息がうまく吸えない。
チャイムがなるのが聞こえたけど、もうそれどころじゃない
「葵、授業がっ」
ドアの前でこーすけを振り返ると、彼は少しだけ困ったような顔をして立っていた。
「授業なんかよりもこっちが大切だろ!!」
血なんか繋がってない
価値観も違うし、性格も違う
だけどこーすけがいるおかげであたしは少しでも救われてたんだ
「出ていかないでよこーすけっ」
泣き崩れてしまったあたしをこーすけは抱き締めてくれた。こーすけの温もりが暖かくて落ち着く
泣き崩れるあたしに、こーすけは少し困ったような顔して──それでも、優しく肩を引き寄せた。
「うわ、泣くなよ、お前マジで目ぇ腫れるって」
ふざけてるように聞こえたけど、その手のひらはやっぱり暖かかった。
「俺がお母さんに愛されてると思ってるんでしょ葵は」
こーすけの声が、震えてた。
「そうじゃないの?」
「お母さんは家族の形しか興味ないんだよ」
「何それ」
「言うことを聞く息子と滅多に帰って来ないけど沢山稼ぐお父さん、言うことを聞かない残念な娘」
「何が言いたいの?」
「俺昔、お母さんに反抗したことが1回だけあったんだよ」
こーすけは、少し空を見上げて言った。
屋上の風がふたりの間をすり抜けて、葵はただ黙って聞いていた。
「中2のときだったかな。葵のこと、母さんが“鬱陶しい”とか“出来損ない”とか言っててさ」
あたしの胸がギュッと締めつけられる。
「それ聞いて、ムカついて、初めて言い返したんだよ。“そんな言い方すんな”って。そしたらさ」
こーすけは、一瞬言葉を止めた。
「“あんたは葵と他人なんだよ、なんであんたまで味方すんの?それならもう出ていってよ邪魔だから”って言われた」
こーすけの声は淡々としてたけど、指先が少し震えてるのが見えた。
こーすけは、少し笑うようにして続けた。でもその笑いは、いつもみたいにぜんぜん明るくなかった。
「それから、俺、怖くなってさ」
「怖くなった?」
「うん。母さんに嫌われるのが、ほんとに怖くて。だからそれ以来、いい子のフリするようになった。成績も部活も、言われたことは全部ちゃんとやって、母さんの前では絶対に逆らわないようにしてきた」
こーすけの声が、風の音にかき消されそうになる。
「“俺がちゃんとしてれば、お母さんは俺に注目して葵は怒鳴られることも少しはマシになるかも”って、ずっとそう思ってた。」
こーすけは、自分の手のひらをじっと見つめた。
「それが、もう限界でさ。お母さんの顔色伺って、何を我慢してるんだろうって。俺、自分が潰れる前に出てく。ごめんな」
こんなこと何も知らなかった
ただずっとこーすけが愛されて羨ましかっただけなのに、その“羨ましい”と思っていたものが、実はこーすけの仮面の下にあったものだったなんて。
「でも、俺にとっては葵は本当の家族だった。
血の繋がりより、ずっと深くて、ずっと大事だったんだよ」
葵は俯いて、ぽろぽろと涙をこぼした。
それは悔しさでもあり、嬉しさでもあり、どうしようもない安堵だった。
「出ていくのは、あの人に勝つためだよ。
ちゃんと自分の意思をもって、自分の人生選んでやるって、そういうこと」
私の知らないところでこーすけは限界が来てたんだ。
「気づかなかった、そんなの、、ごめん」
「まぁいいじゃん気づかなくてよかった」
そう言って、こーすけは優しく私の頭をぽんぽんと撫でた。
その手のあたたかさに、また涙が溢れた。
「手出して」
そう言われてこーすけに手を差し出す
「これ持ってて、辛くなったらすぐ来てよ」
渡されたものは鍵だった
「なに?」
「お父さんと話しててもう家も決まってんの、あとはお母さん説得させて荷物移動させるだけなんだよ」
「もう離ればなれになるの?いやだよっまだいかないでよっ心残り準備が」
「大丈夫。場所は離れるけど、“葵の居場所”はちゃんと作っとく。しんどくなったら逃げてきていい。 それは今までもこれからも変わらん」
「何それ、ずるいよっ」
あたしはこーすけに思いっきり抱きついた
「いてーよ!あおっ」
「バカ……」
声にならない声でそうつぶやくと、涙がまた勝手にこぼれてきた。
風で髪が揺れて、景色がにじむ。
「でも、約束して。ちゃんと連絡するって。
私がSOS出したときは、すぐ返してくれるって」
「任せろって」
こーすけが笑って、拳を差し出してきた。
泣きながら、私はそれに拳をぶつけ返す。
「痛っ」
「そっちが力入れすぎなんだよ!」
泣きながら笑った。泣き笑いって、ほんとにあるんだって思った。
あたしもそろそろこーすけ離れする時なのかな。
「いなくなるの、まだイヤだけどさ」
「うん」
「でも、ありがとう。
今まで、あたしがここまでやってこれたの、
たぶん、あんたがいてくれたからだよ」
「俺もそう。お前がいたから、耐えられた」
「まぁ学校とか普通に家以外ならいつでも会えるしな」
肩を並べて座った屋上。
一限の終わりのチャイムはとっくに鳴って、もう戻らないといけない。
でも、ここにある時間が、
あたしにとっては何よりも大切だった。
「じゃ、帰ったら一応先生に謝っとこ。
“家族会議で遅れました”って言っとけばいけるだろ」
「それで通る先生いねーって笑笑」
こーすけがいなくなる。
だけど、それは“ひとりになる”って意味じゃない。
ちゃんと、あたしの“居場所”は残してくれるって、
その言葉だけで、少し強くなれた気がした。
教室に戻った時
私は周りの目なんて今はどうでもよくて昔のようにこーすけと手を繋いで、教室に戻った。どうしても今日は離れたくなかった。
こーすけは顔真っ赤にしてたけど笑笑
ナチ達からは姉弟愛って泣けるわ〜とか茶化された、だけどあたしにとっては、血は繋がってないけど大好きな弟で、大切な時間だった
「これで今日はがんばれそうだね」ってナチが言ってくれたのが、なんか嬉しかった。
教室に入るとわたしの椅子にこーすけがいた
「あ、こーすけじゃん」
「葵おはよ!」
こーすけが満面笑みでこっちを見てくる
なにがそんなに嬉しくて、楽しくて笑顔になれるんだよ、
「お前さぁ、人の席でくつろぎすぎじゃね?」
「えー?今日からここが俺の指定席ってことで」
「やめろ」
軽口をたたきながらも、こうして笑って話せる時間が少しでも続けばいいって、どこかで願ってた。
「で、どしたん」
「俺近いうちにもう家出てこうと思ってさ」
「は?お母さんはどうするの?私は?ねぇ1人にしないでよっ」
気づけば息を吸うのさえ忘れてしまうくらいに
取り乱していた。
こーすけが居なくなれば、母親はきっとあたしにキツく当たり出すだろう
そんなことを考えたら、とても耐えれなかった
「落ち着けって」
「落ち着けるわけないでしょ!あんたがいないと私はっ」
声が震えた。言葉の続きが喉につかえて、出てこなかった。
こーすけは黙って私の頭に手を乗せた。
「……大丈夫だって。葵なら大丈夫」
その言葉、ずるいよ。
わかってないくせに、簡単に言わないでよ。
「俺だってしんどいんだよ、葵も苦しいのわかるけど、あの家ほんとに地獄じゃん。笑えないって」
「ふざけんな!!逃げんなよっ!!!お前はお母さんに愛されてるくせに、何が地獄だよ!!」
無意識に大きい声を出していた
クラスメイトがこっちを見る。気まずいとか今はもう何も考えられない。
「ごめんでもそういうことだから」
「ありえないって……」
涙がこぼれた。こーすけの前で泣きたくなかったのに。
「泣かないでくれよっ」
「ちょっと来い」
あたしはこーすけの腕を掴んで屋上へ向かった
今すごい顔してんだろうな
ナナが目の前にいて目が合って名前を呼ばれたけど、返す余裕なんて今は持ってない
あれ、今清川先生とすれ違った気が、、、気のせいだね。気のせいであって欲しいこんな顔見られたくない。いつでも元気なあたししか知らないで欲しい。
屋上のドアを開けると、冷たい風が頬を撫でた。
なのに、体は熱くて息がうまく吸えない。
チャイムがなるのが聞こえたけど、もうそれどころじゃない
「葵、授業がっ」
ドアの前でこーすけを振り返ると、彼は少しだけ困ったような顔をして立っていた。
「授業なんかよりもこっちが大切だろ!!」
血なんか繋がってない
価値観も違うし、性格も違う
だけどこーすけがいるおかげであたしは少しでも救われてたんだ
「出ていかないでよこーすけっ」
泣き崩れてしまったあたしをこーすけは抱き締めてくれた。こーすけの温もりが暖かくて落ち着く
泣き崩れるあたしに、こーすけは少し困ったような顔して──それでも、優しく肩を引き寄せた。
「うわ、泣くなよ、お前マジで目ぇ腫れるって」
ふざけてるように聞こえたけど、その手のひらはやっぱり暖かかった。
「俺がお母さんに愛されてると思ってるんでしょ葵は」
こーすけの声が、震えてた。
「そうじゃないの?」
「お母さんは家族の形しか興味ないんだよ」
「何それ」
「言うことを聞く息子と滅多に帰って来ないけど沢山稼ぐお父さん、言うことを聞かない残念な娘」
「何が言いたいの?」
「俺昔、お母さんに反抗したことが1回だけあったんだよ」
こーすけは、少し空を見上げて言った。
屋上の風がふたりの間をすり抜けて、葵はただ黙って聞いていた。
「中2のときだったかな。葵のこと、母さんが“鬱陶しい”とか“出来損ない”とか言っててさ」
あたしの胸がギュッと締めつけられる。
「それ聞いて、ムカついて、初めて言い返したんだよ。“そんな言い方すんな”って。そしたらさ」
こーすけは、一瞬言葉を止めた。
「“あんたは葵と他人なんだよ、なんであんたまで味方すんの?それならもう出ていってよ邪魔だから”って言われた」
こーすけの声は淡々としてたけど、指先が少し震えてるのが見えた。
こーすけは、少し笑うようにして続けた。でもその笑いは、いつもみたいにぜんぜん明るくなかった。
「それから、俺、怖くなってさ」
「怖くなった?」
「うん。母さんに嫌われるのが、ほんとに怖くて。だからそれ以来、いい子のフリするようになった。成績も部活も、言われたことは全部ちゃんとやって、母さんの前では絶対に逆らわないようにしてきた」
こーすけの声が、風の音にかき消されそうになる。
「“俺がちゃんとしてれば、お母さんは俺に注目して葵は怒鳴られることも少しはマシになるかも”って、ずっとそう思ってた。」
こーすけは、自分の手のひらをじっと見つめた。
「それが、もう限界でさ。お母さんの顔色伺って、何を我慢してるんだろうって。俺、自分が潰れる前に出てく。ごめんな」
こんなこと何も知らなかった
ただずっとこーすけが愛されて羨ましかっただけなのに、その“羨ましい”と思っていたものが、実はこーすけの仮面の下にあったものだったなんて。
「でも、俺にとっては葵は本当の家族だった。
血の繋がりより、ずっと深くて、ずっと大事だったんだよ」
葵は俯いて、ぽろぽろと涙をこぼした。
それは悔しさでもあり、嬉しさでもあり、どうしようもない安堵だった。
「出ていくのは、あの人に勝つためだよ。
ちゃんと自分の意思をもって、自分の人生選んでやるって、そういうこと」
私の知らないところでこーすけは限界が来てたんだ。
「気づかなかった、そんなの、、ごめん」
「まぁいいじゃん気づかなくてよかった」
そう言って、こーすけは優しく私の頭をぽんぽんと撫でた。
その手のあたたかさに、また涙が溢れた。
「手出して」
そう言われてこーすけに手を差し出す
「これ持ってて、辛くなったらすぐ来てよ」
渡されたものは鍵だった
「なに?」
「お父さんと話しててもう家も決まってんの、あとはお母さん説得させて荷物移動させるだけなんだよ」
「もう離ればなれになるの?いやだよっまだいかないでよっ心残り準備が」
「大丈夫。場所は離れるけど、“葵の居場所”はちゃんと作っとく。しんどくなったら逃げてきていい。 それは今までもこれからも変わらん」
「何それ、ずるいよっ」
あたしはこーすけに思いっきり抱きついた
「いてーよ!あおっ」
「バカ……」
声にならない声でそうつぶやくと、涙がまた勝手にこぼれてきた。
風で髪が揺れて、景色がにじむ。
「でも、約束して。ちゃんと連絡するって。
私がSOS出したときは、すぐ返してくれるって」
「任せろって」
こーすけが笑って、拳を差し出してきた。
泣きながら、私はそれに拳をぶつけ返す。
「痛っ」
「そっちが力入れすぎなんだよ!」
泣きながら笑った。泣き笑いって、ほんとにあるんだって思った。
あたしもそろそろこーすけ離れする時なのかな。
「いなくなるの、まだイヤだけどさ」
「うん」
「でも、ありがとう。
今まで、あたしがここまでやってこれたの、
たぶん、あんたがいてくれたからだよ」
「俺もそう。お前がいたから、耐えられた」
「まぁ学校とか普通に家以外ならいつでも会えるしな」
肩を並べて座った屋上。
一限の終わりのチャイムはとっくに鳴って、もう戻らないといけない。
でも、ここにある時間が、
あたしにとっては何よりも大切だった。
「じゃ、帰ったら一応先生に謝っとこ。
“家族会議で遅れました”って言っとけばいけるだろ」
「それで通る先生いねーって笑笑」
こーすけがいなくなる。
だけど、それは“ひとりになる”って意味じゃない。
ちゃんと、あたしの“居場所”は残してくれるって、
その言葉だけで、少し強くなれた気がした。
教室に戻った時
私は周りの目なんて今はどうでもよくて昔のようにこーすけと手を繋いで、教室に戻った。どうしても今日は離れたくなかった。
こーすけは顔真っ赤にしてたけど笑笑
ナチ達からは姉弟愛って泣けるわ〜とか茶化された、だけどあたしにとっては、血は繋がってないけど大好きな弟で、大切な時間だった