組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
は…!

そうだ、それを聞くために必死にお願いしてたのにすっかり忘れそうになっていた。


「んーまぁ簡単に言うとお前が脱走しないように?かな。」


「え…?」



私が脱走しないように監視するため…てことだろうか。


私はこのお屋敷から逃げる気なんて…。


「でも無いかってすぐ気づいたよ。最初に見に来た時。お前が寝てる時泣いてたから。」


え…?泣いてた?私が?

そういえば今日は久しぶりに昔の夢を見た気がする。



でも両親のことで泣くことはもう無いって思ってたから夢を見て泣いてたなんて驚いた。



「お前は今帰るとこ無いからね。ココ以外に。」



淡々としてどこか冷めきった口調の橘さんのその発言は間違いない。

その通りだ。


私に居場所はないからココから逃げたところで全く意味はない訳で。



「…でも、どうしてまた何回も来てたんですか…?」



私が脱走することがないって分かったならもう監視する必要は無いはずなのに。

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