組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
「あーまぁそれはアレだよ。」


…アレ…??

と首を傾げる。


「お前がいつまで経っても泣いてるからいつになったら泣き止むのか見てただけ。」



と、バツが悪そうにそう言う橘さん。

そこで少し、ん?となる。


「心配…してくれてたんですか?」



橘さんの今の発言はまるで心配していたみたいなように聞こえる。



「お前ポジティブだね。ま、どうとでも解釈すればいーよ。」



そう言いながら髪の毛を一瞬掻くと私から目を逸らす。


そのとき、今まで感じたことの無いフワッとしたような感覚になった。


暖かい蜜がツーーっと心臓の血管を走るような。




それと同時に目頭が何故か熱くなった。

今私は " 嬉しい " って思ってるんだ。



「…橘さん、」



名前を呼んで、さっきまで私の頭を撫でていた橘さんの手の本当に先っちょの方をキュッと掴んで


「…ありがとうございます。」



とニコっと笑って言った。

こんなに心の底から笑みが出るのは久々で、上手く笑えてるかなと不安になる。

誰かに心配してもらうことがこんなに嬉しい気持ちになるなんて。



橘さんを見ると、心無しか目を少し丸くさせて驚いているように見える。

だけどすぐに、ふっと笑って




「ん。どういたしまして。」



と私の頭をまた撫でた。


…不思議だな。昨日出会った時は血も流れていないんじゃないかと思うくらい、

怖かったのに。


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