組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
そう思っていると橘さんが頭から手を離してこう聞いてきた。


「あー、でも1つ聞くけど、茉白の今の主人は誰?」


…今の、主人?

昨日もこんな感じのことを聞いたような…。


「橘さん、です。」


私の回答に橘さんは、そうだよ。と言ってそのまま片方の手で私の頬に触れた。


冷えた指先が直に伝わってくる。

…どうしてわざわざ頬に触れる必要があるんだろう。




「だからこれからは、あのクズ野郎のことで泣いたらダメだよ。」


まるで冷気を感じそうなくらい冷たい声で、あのクズ野郎、という橘さん。


それに思わずゾッとする。


「茉白が泣いていいのは俺のことだけ、分かった?」



あ、次は優しい口調だ、


橘さんはコロコロ雰囲気が変わるから不思議。

…それにそんな笑顔で分かった?て言われても…。



「分かりました、」



私が拒否権がないってことくらい分かってるくせに。



「ん。やっぱり茉白はお利口だね。」



橘さんは撫でるのが好きなのかな。

まだここに来て2日目なのにもう何回撫でられたのか。


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