組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
この人本当に暴君だ。

つまり本当にただ自分が熟睡するために私を利用すると…。


「茉白、返事は?これは俺が決めた "仕事" だからね。」



私に決定権は無い。

私は橘さんが言う通りに動かなければいけないからこれももう既に決まったことなんだ。



「はい、分かりました。」


お掃除は良いとして、私に抱き枕なんて務まるのだろうか。

私が癒しパワーなんてものを持っているはずもないし、ただの橘さんの勘違いだろうからきっとすぐお役御免だ。



…それもそれでちょっと悲しいけど。



「ん。じゃ今日から夜は俺の部屋に来てね。」


「はい。」



橘さんはそう言うと襖を開けて部屋を出ていった。


「はぁ~…。」


さすがに私も緊張していたのか、力が抜けて床に座り込んでしまった。


……本当に橘さんは怖い人。


話しているだけでわかる、あれは人の上に立つ人だ。

表情も言葉も一つ一つに威圧感とか、抗えない空気感がある。



そんな人の抱き枕…?




「やっぱり無理だよ…。」



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