組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
「お、父さん…?お母さん…?」



どうして、最後になってそんな私を愛おしいみたいな目で見てくるの?


子は親を無条件に愛すものだからなのか、私の気持ちは間違いなく昂っていた。

今まで自分を苦しめてきた親なのにも関わらず。



「若菜、本当にありがとう。」


「え、なにが…?」



突然の感謝の言葉に私がそう聞くと、両親は何を言ってるんだとでも言うような顔でこっちを見てきた。



「何って…、そりゃあお前が "あの方" に買って頂けたことに決まってるじゃないか。」




ドクン、ドクン、ドクン





さっきの心臓の音とは違う。


目の前が暗闇に包まれた。





…私はなんて馬鹿なんだろう。少しでも両親の愛を期待してしまった自分を無性に殴りたくなった。



馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿。




「…はは、」



もう涙も枯れてしまったのだろう、今の私には乾いた笑いしか出てこない。



「お父さん、お母さん…、いや。あなた達にとって私は…」




「ただの "道具" に過ぎなかった…?」




私の両親は本当に、本当に…













「…?そんなの当たり前じゃない。」


「茉白は本当に立派な "道具" だったよ。」





残酷な人達だったんだ_____________________。






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