その抱擁は、まだ知らない愛のかたち
貴之の激しさ
麻里子が風呂に入っているあいだ、貴之の苛立ちは限界に達していた。
胸の奥で燻る怒りと欲望が、理性を焼き尽くそうとしている。
「……時間の、無駄だと?」
その一言が、貴之の中の何かを決定的に引き裂いた。
胸の奥で、何かが音を立てて砕ける
理性なんて、最初からなかったのかもしれない。
たまたま麻里子の繊細さに合わせて、抑えていただけだ。
それなのに。
あの瞳で見上げて、俺を受け入れかけたくせに。
あの唇で俺の名を震わせたくせに。
それが、時間の無駄だと?
ふざけるな。
俺のどこを見ていた? 何を感じていた?
一度でも、本気で俺を見てくれていたのか?
この数日、必死に抑えていた本能が目を覚ます。
爪を立ててでも欲しい。泣こうが、震えようが構うものか。
甘さも優しさも、今夜は全部あとに回す。
思考はもう、ひとつしかなかった。
壊したい。
あの冷たい言葉を吐いた女を、ベッドの上で泣き崩れるまで征服したい。
快楽の中で何も言えなくなるほど、啼かせたい。
怒りとも、哀しみともつかない感情が、胸を焼いた。
貴之は立ち上がる。
もう、遠慮も、抑制もいらない。
「逃がさない、麻里子……もう二度と」
貴之は無言のまま麻里子のバッグを手に取り、財布も鍵も携帯も書斎に運び込むと、ゆっくりと扉を閉めて鍵をかけた。
もう、どこにも行かせない。
貴之は手早くシャワーを終え、タオルで髪を拭きながらリビングへ戻ってきた。
麻里子はソファのそばで、自分のバッグを探していた。
「ねえ、貴之さん。私のバッグが……見つからないの」
振り返ってそう言う麻里子に、貴之は何も応えなかった。
無言のまま、すっと彼女に歩み寄る。
「え……?」
次の瞬間、麻里子の細い身体がふわりと宙に浮いた。
「きゃっ」
驚く間もなく、貴之の腕に抱え上げられ、寝室へと運ばれていく。
シーツの上に放られた麻里子の身体が跳ねる。
そのすぐ上から、濡れた髪の貴之が覆いかぶさる。
両腕は麻里子の頭の左右に突かれ、逃げ道を塞がれていた。
「た、貴之さん……?」
目を見開く麻里子。けれど、彼の瞳は容赦なく彼女を捉えている。
そこにあるのは、いつもの穏やかさではなかった。
「麻里子、こう見えても……俺は怒ってるんだ。しかも、とんでもなくな」
低く押し殺した声だった。
その声音に、麻里子の背筋が凍る。
次の瞬間、貴之の唇が激しく麻里子を塞いだ。
あまりにも荒々しくて、息ができない。
麻里子は驚き、怖くなり、咄嗟に顔を背けようとする。
けれど...逃がさない。
彼の唇と舌は、追いかけるように麻里子の口元を捕らえてはなさない。
「……んっ……ぁ……っ……」
息が乱れ、喉から漏れる声すらキスに奪われていく。
「おねがい……やめて……」
かすれるような声で訴えかける麻里子に、貴之は低く、冷酷な一言を返す。
「やめない。何を言われても、もう止まらない」
そう告げた瞬間、キスはさらに深く、貪るように再開された。
麻里子の目から、ひとすじの涙がこぼれ落ちる。
貴之はそれを見て、冷たく笑った。
その笑みに意地悪さが滲んでいる。
「泣いても、無駄だ。諦めろ。……逃がす気なんて、最初からない」
「ど、どうして……?」
涙に濡れた瞳で見上げる麻里子の顎を、貴之は強く掴んだ。
「許すつもりなんて、もうない」
そう言い放つと、麻里子の首筋に唇を這わせ、
肌に痕を残すような強い吸引を加える。
「いたっ……!」
麻里子の小さな悲鳴が、部屋の静けさに溶けていった。
胸の奥で燻る怒りと欲望が、理性を焼き尽くそうとしている。
「……時間の、無駄だと?」
その一言が、貴之の中の何かを決定的に引き裂いた。
胸の奥で、何かが音を立てて砕ける
理性なんて、最初からなかったのかもしれない。
たまたま麻里子の繊細さに合わせて、抑えていただけだ。
それなのに。
あの瞳で見上げて、俺を受け入れかけたくせに。
あの唇で俺の名を震わせたくせに。
それが、時間の無駄だと?
ふざけるな。
俺のどこを見ていた? 何を感じていた?
一度でも、本気で俺を見てくれていたのか?
この数日、必死に抑えていた本能が目を覚ます。
爪を立ててでも欲しい。泣こうが、震えようが構うものか。
甘さも優しさも、今夜は全部あとに回す。
思考はもう、ひとつしかなかった。
壊したい。
あの冷たい言葉を吐いた女を、ベッドの上で泣き崩れるまで征服したい。
快楽の中で何も言えなくなるほど、啼かせたい。
怒りとも、哀しみともつかない感情が、胸を焼いた。
貴之は立ち上がる。
もう、遠慮も、抑制もいらない。
「逃がさない、麻里子……もう二度と」
貴之は無言のまま麻里子のバッグを手に取り、財布も鍵も携帯も書斎に運び込むと、ゆっくりと扉を閉めて鍵をかけた。
もう、どこにも行かせない。
貴之は手早くシャワーを終え、タオルで髪を拭きながらリビングへ戻ってきた。
麻里子はソファのそばで、自分のバッグを探していた。
「ねえ、貴之さん。私のバッグが……見つからないの」
振り返ってそう言う麻里子に、貴之は何も応えなかった。
無言のまま、すっと彼女に歩み寄る。
「え……?」
次の瞬間、麻里子の細い身体がふわりと宙に浮いた。
「きゃっ」
驚く間もなく、貴之の腕に抱え上げられ、寝室へと運ばれていく。
シーツの上に放られた麻里子の身体が跳ねる。
そのすぐ上から、濡れた髪の貴之が覆いかぶさる。
両腕は麻里子の頭の左右に突かれ、逃げ道を塞がれていた。
「た、貴之さん……?」
目を見開く麻里子。けれど、彼の瞳は容赦なく彼女を捉えている。
そこにあるのは、いつもの穏やかさではなかった。
「麻里子、こう見えても……俺は怒ってるんだ。しかも、とんでもなくな」
低く押し殺した声だった。
その声音に、麻里子の背筋が凍る。
次の瞬間、貴之の唇が激しく麻里子を塞いだ。
あまりにも荒々しくて、息ができない。
麻里子は驚き、怖くなり、咄嗟に顔を背けようとする。
けれど...逃がさない。
彼の唇と舌は、追いかけるように麻里子の口元を捕らえてはなさない。
「……んっ……ぁ……っ……」
息が乱れ、喉から漏れる声すらキスに奪われていく。
「おねがい……やめて……」
かすれるような声で訴えかける麻里子に、貴之は低く、冷酷な一言を返す。
「やめない。何を言われても、もう止まらない」
そう告げた瞬間、キスはさらに深く、貪るように再開された。
麻里子の目から、ひとすじの涙がこぼれ落ちる。
貴之はそれを見て、冷たく笑った。
その笑みに意地悪さが滲んでいる。
「泣いても、無駄だ。諦めろ。……逃がす気なんて、最初からない」
「ど、どうして……?」
涙に濡れた瞳で見上げる麻里子の顎を、貴之は強く掴んだ。
「許すつもりなんて、もうない」
そう言い放つと、麻里子の首筋に唇を這わせ、
肌に痕を残すような強い吸引を加える。
「いたっ……!」
麻里子の小さな悲鳴が、部屋の静けさに溶けていった。