さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える



「なんで連絡くれないんだよ。俺、ずっと謝りたくて……」

「……もう、いいの」


 紗夜は、静かに言葉を紡ぐ。


「私はもう、あなたに戻るつもりはない。あのときの私は、あなたを信じた。でも、あなたは……壊した」

「ちがう、俺は……! お前しかいないんだ、やり直そう!」



 声が荒くなる。怖い。けれど、もう逃げない。
彼の手が紗夜の腕を掴んだ――その瞬間。


「離せよ」


 悠真の声が響いた。

 どこからか駆けつけた彼は、迷いもなく紗夜の前に立つ。




「俺は見た。アイツが何をしてきたか、全部な。これ以上、紗夜を苦しめるなら、正真正銘、訴えるから」


 直哉は数秒間、睨みつけていたが、やがて小さく舌打ちして背を向けた。


 これが、本当の終わりだ。



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